過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

田んぼからリアルタイム放送

朝の6時からの田んぼの仕事に、静岡市からはるばる2時間もかけて、原科さんがきてくれた。かれは〈ひきこもり〉支援の仕事をしている。そのための取材だ▲かれは、全国の〈ひきこもり〉の人たちとインターネットのニコニコ動画を通して、日々やりとりしている▲〈ひきこもり〉の人たちは、外には出られないが、音声を通して参加できる。文章をキーボードで入力すれば、その文章とともにリアルタイムで音声変換される。こちらはマイクを通して音声でこたえる。その様子はリアルタイムで、画像として配信される。

原科さんは、これまで三度ほどきてくれて、わがやから全国にリアルタイム放送をしてくれた。今回は、田んぼの草取りの仕事風景がメイン▲原科さんには、裸足になって田んぼに入ってもらい、デッキブラシでこすりながら、稲の間の雑草取りをしてもらった。しかし、雨が激しくなったので、楽舎の学校〈らくあん〉に移動。そこから、ネット放送を昼まで、3時間近く放映した▲田舎暮らしのこと、近所づきあいのこと、田舎暮らしの経費、仏教のこと、お経のこと、丹田呼吸法のこと、多岐にわたるお話ができた。アクセスした方たちは、50名くらいかな。

いろいろな人たちから、脈絡なく次々と質問される。それに対して、瞬時に適確に応えていくという、いい訓練になる。全方位からボールが飛んできて、それを打ち返していく。そして、またボールが飛んでくる。そんな俊敏で柔軟な会話を楽しむことができる。なかなか楽しい体験であった。

こうしたやりとりがすすめば、〈ひきこもり〉の人たちのなかから、勇気を出して、田んぼの手伝いに来てくれる人が現れるかもしれない。田舎暮らしをしてみようという人も、現れるかもしれない▲ともあれ、設備投資も必要なく、放送局も介さず、こうしたあちこちの現場から、個人がリアルタイム放送で発信できるのだ。そんな広報の仕方も新しい流れかと思う。