過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

山は二束三文に

甲斐犬つながりの知人が、うちの近所の山を買ったというので訪ねてきてくれた。かれは、あちこちに土地や山をもっている▲こないだ買った山に、とってもいい古民家がある。きっと池谷さん好みだからぜひ見てもらいたいという。どんな古民家なのか興味がある。煤竹とか出てきそうだ。

近ごろの山というのは、二束三文。買うものじゃなくて、タダでもらえると知人はいう。山主がとうてい管理できないので、任せられるというのだ▲かつては、ひと山あれば、それはもうたいんな財産。娘の嫁入り支度に、木を一本伐ればそれでまかなえたとか。雨が降ると木が太っていくのがうれしい。銀行にお金を預けるよりも財産が増えていくとか。

でも、いまじゃ、木材価格は下がりっぱなし。南洋材が安く輸入されるし、だいたい近頃の住宅は木を使わない。鉄骨だのセラミックだの、ツーバイフォー材は輸入品だ▲で、森の間伐はできない。木を伐っても二束三文で大根の値段よりも安いこともある。これじゃとうてい人件費が出ないので、伐らずに放置だ。

ということで、全国のあちこちの山は荒れ放題になっていく。広葉樹がないので動物は暮らせない、下草も生えない、スギ花粉症は増える。杉などは保水力がないので、山崩れが起きる▲近所で起きた山崩れの補修費用は13億円だという。13億円!だよ。