スマナサーラものがたり㊹鬼籍に入られた人 小沼さん
今回から、テーラワーダ仏教に協力されて、もう鬼籍に入られた方(10人くらい)について語っていきます。
小沼さんという女性がいました。
スリランカの私のお寺には、彼女を記念した写真が飾ってあります。
協会の参加者のみんなは、初心者も多くて、ちょっといい加減なところがあったかもしれません。しかし、小沼さんはみんなをうまくまとめてくれました。彼女が何か言うと、みんないきなり賛成してしまうような人徳がありました。
かといって、強力なリーダーシップをとるという人ではなくて、とても控え目な方でした。
まあ、結果的には、見事にリーダーシップをとっていたんですね。
みんなの役に立っていたんですね。瞑想実践会を開こうとすると、彼女がリーダーだからみんな協力するという信頼性がありました。
当時の法要は、ほとんど彼女が考えてやっていたんですね。
1,000人ぐらいの会場で行った法要なども仕切っていました。
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もともと高校の先生でしたが、そんなに人前で喋る自信があるわけではない。けれども、一旦真剣になったらみんなをコントロールする力が湧いてくるんですね。といって、人をコントロールしない。
彼女の力で、みんなは力を合わせるようになるんです。
その意味では、すごい力があったんです。
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もう少し生きて欲しかったんです。私は「もうちょっと頑張ってください」と言いたいところでしたが、本人は「もう十分です」という気持ちでした。
まあ本人は執着もなく、きれいさっぱりと、執着を捨てましたね。
彼女にして見れば人間として生まれて、最終的に執着はなく目的にも達したんです。一人の女性として、みんなに仏教を実践するためのチャンスを与えて、自分の業(ごう)を消していったんだから、もう完璧だと思いますよ。
※スマナサーラ長老のインタビューをもとに池谷が構成しています。