過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

スマナサーラものがたり㉛ヘンな人

スマナサーラものがたり㉛ヘンな人
母は、全然お寺には行かない。信者じゃないんですね。
とてもシンプルな言葉で仏教の道徳システムに合わせて指導するんです。
ある時、家に身体障害者で乞食の人が来たんです。私は5歳か6歳ぐらいでしょうか。身体が変形しています。
それを見て、私はびっくりしてしまいました。
「お母さんお母さん、いまヘンな人が来てるよ」。
母はお金とかご飯のようなものを持って行って、その人に差し上げていました。
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その時、母から「ヘンな人って何ですか」と叱られたんですね。
「ヘンな人って何ですか」と聞かれて、意味を考えてみました。
母は「ヘンなという形容詞を捨よ」ということでしょう。だから私は、それ以来、その単語を使ってないんです。
まぁふざけてから使う時はありますけれども。ヘンな人ですねとか、お前みたいなヘンなやつは、とか言ったりしますけどね。それは人を差別する意味で使ってないんだからね。
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「違う、異なる」ということは浮かぶんだけど、「ヘンな人」という言葉は出てこないんです。
世の中には、ダウン症の人々とか、いろいろな障害をもった人がいるでしょう。いずれにしても私にとって「ヘンな」ということはないんです。それは、母の言葉からきているんです。
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「もし自分がそうだったらどうか。そう言われたらどんな気持ちがするのか」と。
学んだのは「役をパートを変えてみなさい」ということなんですね。
スマナサーラ長老のインタビューをもとに池谷が構成しています。