「おとうちゃん、明日はママの退院だね。学校を休んで一緒に病院に迎えに行ってもいい?」
──いいよ。一緒に行こう。みんなでインドのカレー屋に寄ろうか。
「うれしいな。はやく明日が来ないかな。明日は4時に起きて、ママに手紙を書くんだ。ちゃんと起こしてよ」
──そんなに早く起きるの。じゃあ、いまから寝なくちゃ。
「おとうちゃん。お月さまが見えるね。暗いと、現実が見えるね。だから、目をつむるよ」
ごそごそして、なかなか寝つかない。
「おとうちゃん、足の裏もんで。ふくらはぎも。それから、背中をヨシヨシして」
足の裏から頭のてっぺんまで、なでなでして、癒気をして、マッサージしていったら、やっと眠りに入った。
今夜は三日月だ。
庭では、アマガエルが騒がしい。
やっとワンコも鳴きやんだ。