過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

田んぼを買うのは、なんともややこしい

友人が田んぼを買おうとしている。ぼくも一緒にそこの田んぼで稲作をするつもりで動いている。
そこで、いま契約書を作っている。しかし、いろいろとクリアーすべき課題が山積み。
 
①元田んぼなので地目は農地。すると「農地法」の制限がかかる。買い主に農家資格がないと、農地は買えない。
 
②友人の買い主は、親が農家であったが、自分に農家資格があるかないかわからない。親から農地は相続しているのだが。
 
③農家資格があるかどうかの確認は、本人でも電話ではダメ。区役所に直接、行かないと教えてくれない。往復2時間余かかる。
 
④農家資格がなければ、資格をとるためには一年もかかる。農業委員会に書類提出、面談。視察。さらには、年間150日の耕作が必要。そして、耕作面積は、2反(2,000㎡)最低限必要。それほど厄介。
 
⑤買い主に農家資格があるとしよう。さて、その農地の売り主が自分の名義の土地かどうか分からず。
 
⑥昨年、亡くなった夫の名義である確率が高い。それだと、遺産相続して名義を変えなくちゃいけない。もしも売り主が長男だとすると、遺産分割協議書を作成のために、ハンコをきょうだいに押してもらわなくちゃいけないとか、厄介。
 
⑦売り主の名義になってはじめて、売買が始まる。しかし、売買が成立したとしても、農地法の3条申請というのがあって、登記するには、農業委員会の許可がいる(かつては県知事の許可)。そのために、ややこしい申請書を書く必要がある。
 
⑧売買の前に、農業委員会が視察に来るのだが、現況、原野だとしたら、地目変更の手続きが必要になったりすることもある。
 
……ということで、ものすごく手間なことを再確認した。それをわかりやすいように、契約書=覚書にしているところである。
 
買うからややこしいので、借りることにすればいいのだが。あるいは、池谷は農家資格があるので、わたしの名前で買ってもいいのだが、しかしあとあと、ややこしいことになる。
 
かくして、農地は売買できずに、そのまま耕作放棄地となって塩漬け。それが、いまの過疎地のありよう。農業が大切、農業振興といっても、このあたりの各論になってくると、なんとまあ消耗することかと暗澹と。