過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

講演の機会があった

経験的にわかってきたのは、成功談はウケない。自慢話になったら、まったくウケない。どんなもんだ、すごいだろうなんてのは論外▲ウケるのは、失敗したこと。こんなにダメだったこと。そこから、どう乗り越えてきたかというところ▲「こいつバッカだねえ、わはは」というところがたいせつ。おりこうさんは、あかん。これは、文章もおんなじ。

島田市菊川地区の自治会から依頼されて、講演させてもらった。巨大なスクリーンとビデオプロジェクターを携えて、車で一時間半。山里とまちなかをむすぶ、がテーマ。人と暮らしの魅力を発信すること、人と人をむすぶことについて▲ぼくは、幕の内弁当のように、あれこれと繰り出す感じになりがち。これだと自分本位の話になる。来られた方が求めている所を感知しなくちゃ。「だれにむかって話をしているのか」というところ▲座談会とちがって、講演という一方通行の場合は、それがむつかしい。なので、身を乗り出して聞いてくれる、いろいろと質問してくれる、もっと聞きたいと言ってくれる……そういうことにはならない。

こんな質問があった。「あれこれと活躍されているのはわかるけど、あなたがいったいなにをしたいのかわからない」と▲う〜ん、そのとおり。じつは、自分もわからない。山里の活性化、はたしてそれをほんとうにしたいのかどうか。定住促進とか地域の活性化とか、そんな「行政的なこと」をやりたいわけじゃあない。ぼくの仕事でもない▲ただ、こうして山里に移り住んだので、まわりに仲間がいて、一緒に力をあわせて仕事ができる。暮らしが楽しめる。そういうネットワークを作りたいんだろうと思う。そのことが結果として、山里の活性化につながる、かもしれない。そんなことを話した。