風がとても激しい夜。雨音もする。新年を迎えて、良寛さんの詩を味わう。
「あしびきの 国上の山の 冬ごもり
日に日に雪の 降るなべに 往き来の道の あとも絶え
ふるさと人の 音もなし うき世をここに 門鎖して
飛騨 の工が うつ縄の ただ一筋の 岩清水
そを命にて あらたまの 今年の今日も 暮らしつるかも」
越後の国上山のふもとで冬籠もりしている
毎日のように雪が降るごとに 行き来する道の人の足跡も絶えた
ふるさとの人からの便りもなくなった
世俗を離れて庵の門を閉め
飛騨の国の大工が引く細く真っすぐな墨縄のような、岩を流れ落ちるたった一筋の清水
それをいのちの支えとして、あらたまの冬の一日を過ごしている