過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

いのち長ければ恥多し 荘子

まさに救急搬送されようとする友人に、入院中に読む本は何がいいと聞くと「荘子を」と。で、岩波文庫三冊、リュックに詰めた。

こないだ83歳の方と立ち話。炭焼窯づくりをご指導いただいた方で、郷土史(田河内今昔)の本も著されている。その方が言われた。「いのち長ければ恥多し。もう80も過ぎたら、用はないなぁ。みんなも遠慮してなにも言ってくれないし」と。

その、出典は荘子にある。ということで、荘子をすこし紹介。いのち長ければ恥多しの後半部分である。

天生萬民 必然各授其職 
多男孩而授之於職事 有什麽可值得耽憂的
富有使人分之 何煩惱之有
聖人簡居粗食 行迹不顯
天下有道 則與萬物齊昌
天下無道 則清輭修紱
千歲後不想在世了 去則升爲一品上仙

天というものは、必ず一人一人に天職を授けている。
男子が多くても、それぞれの天職に導いてやれば何の心配もない。
富が増えても、人々に分け与えてやれば、なんの面倒もない。

聖人は、簡素な暮らし簡素なもの食す。
そして、空を飛ぶ鳥のように跡を残さない。

世の中がまともであれば、衆人とともに栄え楽しみ、
そうでないときは我が身の徳を修めて隠棲すればよい。
千年もの長生きをして世の中がいやになったら、仙人となって白雲にのって去ればよい。

こういう思想が、なんと紀元前400年くらいに残されているというのが太古・中国のすごいところ。