過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

『死んだらおしまい、ではなかった』がついに10万部突破

〈3年前につくらせてもらった本が、ついに10万部を超えた。お坊さんが二千件もの葬儀をいとなんで、故人の霊的なものをとらえていった体験である。〉

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亡くなった人が、はたして成仏したのかどうか、それを真剣に探求した坊さんがいる。▲この方は、毎日のように葬儀を行い、これまで二千件を超える葬儀をいとなんできた。その一件一件の葬儀において、「なんとかして亡くなった人を感じたい」と思った。▲そして、ついに八百件目にして、亡くなった人の「なにか」あるいは「本人」を感じられるようになった。故人の伝えたいことが、少しずつ分かるようになってきた。▲かれは、それを克明に記録していった。もしや、たんなる思い込みではないのか……。そこで、遺族とたんねんに分かち合って確認していった。その記録は、ゆうに千件を超えた。

その体験から、故人を偲ぶことがいちばんの供養になる、と言う。遺族の心はちゃんと故人には通じている。真の供養とは、坊さんが行うものではなくて、遺族が行うものだ、と。▲では、お坊さんの役目はというと、法事を通して遺族の心をそろえること。故人のいまの状態を感知して、それを遺族に伝えることにある、と言う。▲ほんとうかどうか、わからない。しかし、これは二千件もの葬儀をおこなったお坊さんの自らの体験である。

3年前に、このお坊さんの体験を本として、つくらせてもらった。『死んだらおしまい、ではなかった』(大島祥明著  PHP)として発刊され、ついに10万部を突破した。昨夜、出版社から増刷の報告があった。▲とくに宣伝したわけではなかった。書店でも並んでいない。最初の売れ行きは、鈍かった。初版の8千部で終わりかな、と思っていた。▲それが、クチコミで少しずつ売れていった。生協のカタログに掲載されて、東北を中心に、に売れて言ったという。▲ぼくの仕事は、本を企画したり編集したり書くことだけど、とくに無名の方のすばらしい体験を見つけて、本にしていくことはうれしい。