過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

成仏しますか? という問いに答えられなかった

季節がら「お盆」なので、親しい坊さんの霊的な体験のはなし。

この方は、大阪の寺に生まれ、東京で檀家ゼロからスタートした。葬儀屋の紹介で、葬儀をしながら檀家を増やしていった。いま檀家は六千軒余にもなった。

東京での初めての葬儀のこと。二人の幼子を遺して亡くなった妻のことを夫が聞いた。「うちのは成仏しますか?」

しかし、答えられなかった。故人が成仏するかどうか、考えもしなかった。ただ儀式として、葬儀をしていただけだった。

けれども、その一言が機縁になった。「故人の魂があるとしたら、いまどういう状態か」を知りたいと思った。それで、感性を研ぎ澄ませて葬儀にかかわるようにした。

そうして、八百件目くらいの時、「なにか」が感じられるようになった。「たしか」に、感じられる。それは、「本人」(故人)ではないかと思った

さらに研ぎ澄ませて葬儀を続けていくと、やがて故人のうったえていることが、はっきりと感じられるようになった。

なるたけ先入観をもたないように、なんの情報ももたずに通夜に行った。そして、感じとれた故人のうったえを克明に記録していった。あとで遺族の方と話していくうちに、故人のうったえかけが次第に明確になっていった。

その記録が一千件余になった。「本にしたらいいのに」と、18年前に伝えた。このたび、やっと本になった。編集をさせていただいた。今月末に書店に並ぶ予定。