過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

畑を借りた、でも土が……

畑に腰かけて田んぼを眺めているだけでも心が安まる。稲の上をすいーっとツバメが滑空し、赤トンボはわんさかと舞っている。

六月から畑を借りた。15坪で年間2万6千円。年間だよ。しかしも、うちから徒歩10分と散歩にちょうどいい距離。

いくつかの区画にきった農園なので、素人でスタートした人たちばかり。気軽に話しかけられるのがいい。今日は「こんな大きなキュウリじゃおいしくないと女房が文句言うんだ」とぼやいているおじさんがいた。

ただこの畑、問題はある。いくら掘ってもミミズが出てこない。アリもダンゴムシもトカゲもいない。死んだような土なのだ。

長いこと化学肥料で小松菜を栽培していた畑だったらしい。土が健康じゃないのは残念なことだが、まあしかし、長期計画で枯葉を混ぜて土を生き返らせるつもり。

さいわい堆肥はたくさんある。この数年わたって、生ゴミを捨てずに、糠をまぜてせっせと堆肥をつくってきた。さらに油粕を混ぜて肥料にした。おかげでトマト、ナス、インゲンなどはちゃんと収穫できた。さすがトマトなどは、市販のものよりはるかに美味しい。

いま育っているのは、大豆、ニンジン、ゴーヤ、ヤーコン、アシタバなど。

カボチャは、知らないうちに芽が出た。堆肥を土に混ぜている中に、カボチャの種があったのだ。生ゴミが堆肥になっても、カボチャの種は生きていた。いまは芽を出して所狭しと蔓を伸ばしている。

こちらは少し手間をかけるだけ。野菜たちは自らの力で育っていく。太陽の光が、土が風が雨が、育ててくれる。日々刻々と育つ様子を観察するのが楽しい。しかも、おいしくいただけるわけだ。日常のなかに、ひとつ喜びが増えた。

※スケッチは元気なカボチャのツル