過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

ダージリンへの旅(1)──列車に乗り込む

インドはなにしろ人が多い。すごく多い。とくに大きな駅にいくと、人でごったがえしている。列車を待つ人は、何千人もいたりする。

待合所も狭いので、ホームで寝ている人が多い。こいつはプラットホームで暮らしているのか……と思うようなもいる。ときに牛さえもいるのは、さすがにインドである。

列車は時刻通りにはまず来ない。長距離列車になれば、10時間くらい遅れることもある。そこは気長に待つ。人を観察するのも、楽しいのだ。見ているといろいろ事件がある。

必死の形相で警官に叫んでいる男がいる。そばで息子が泣きじゃくる。なにか盗まれたのだろうなあ。そんな姿を観察する。

ようやく列車が着く。みな我先に席を確保しようとして、必死で乗り込む。けれども、出る客よりも先に入ろうとする。出る客と入る客が押し合いへし合い、互いにゆずらない。なかには、人の頭の上を踏みつけて乗り込んでいくやつもいる。

寝台列車は寝台を予約すると、列車のボディに、コンピュータで打ち出した紙が張りだされる。自分の名前を、みつけてひと安心。

さて、次の課題は席の確保だ。予約してあっても、だれかに占領されていることもある。「ここはおれの席だ」と言っても、どかない。「出ていけ」と言ってもどかない。またすごむ。やっとしぶしぶ出ていく。こういうとき我を忘れると、ものを盗まれたりするので、要注意である。