過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

おびただしい虫たち(1)──トタン屋根に雨が降るごとくに

梅雨どきになると、猫にノミが発生する。毎日、ノミ取り櫛というので取る。ひとたび梳かすと数匹が挟まって取れる。水に沈めると、すこしもがいてすぐに動かなくなる。きのうは50匹、きょうは80匹。だが、取っても取ってもノミは出てくる、出てくる。

なかには、水面からぴょーんと跳ねて脱出するのもいる。そいつらが、畳の隙間や絨毯の下に卵を産みつけるのだろう。やがてあちこちにノミが出現するようになる。こうなると、人間も血を吸われてたまらない。

産卵直前のメスが10匹いれば、30日後には成虫が約2千匹に。それが9万個以上の卵を産むんだそうな。なんともおぞましい。

殺虫剤を散布するが、まったく効果はない。なにしろ、やつらは体長の100倍もの高さを跳ぶんだ。殺虫剤も掃除機もなんのその。あっさり跳ねてクリアー。万策尽きたとき、友人から対治法を教えてもらった。

こういう方法だ。ノミ取り粉をまんべんなく部屋中にまく。すかさず新聞紙を広げる。隙間なくだ。そうして、数分間。待つ。

──パラパラパラ。そのうちバチバチバチバチと大きな音。やつらが苦しんで跳ねて跳ねて、新聞紙に当たっている音なのだろう。

バチバチバチ、ばばばば……。トタン屋根に雨が降ったような音だ。10分も音が続いたろうか。やがて静かになった。

それから、ぱったりノミはいなくなった。全滅か。めでたしめでたし。ノミは大災難だろうが。