過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

仏壇と位牌と仏様

お訪ねしたお宅は、立派な風情のある仏壇が安置されていた。仏壇に座って挨拶。リンをチーンと鳴らして礼拝。中央には大きな位牌が鎮座されている。

あれ、仏さんは? というと、脇に印刷された小さな仏さまの絵がかかっていた。仏様は、位牌よりも見劣りする。脇役のまた脇役となっている。

日本の仏教のベースには先祖供養がある。たくさんの先祖たちのたましいが、ひとつの霊団として、わが家を、家族を見守ってくださっている。

その感謝を捧げ、安心を得る場が仏壇ということになろうか。なので、異国の仏さまよりも、有縁の先祖たちが頼りになるのかもしれない。

祭祀をおこなうのは、長男の務め。なので、家を継承したものだけが仏壇を安置する。本家を離れた場合には、だいたいは仏壇は安置しない。

仏壇の本来の意味は、仏様のおられる場といことであろう。仏様が中心におわして、仏様と相対する聖域ということになろう。仏に祈り、願い、あるいはつらさを訴えたり、愚痴を聞いてもらったり、対話する場ともいえる。

理屈的には、仏様の威光に照らされて先祖たちが安心を得る。その力を発揮する。仏様を中核とした先祖たちの集団、それが仏壇の風景。

ところがこの家のように、仏様は脇役になり先祖をまつる位牌が中核となっている。家によっては、仏壇そのものが立派で豪華。仏像や位牌は劣るというものもある。