過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

この山里に光回線はきていない

この山里に光回線はきていない。うちはADSLだ。それでも中継基地から近いので、さほどの不便は感じない。しかし、山の奥のほうに暮らすと、かなり絶望的。山奥の人とスカイプで話をしていても、ブツブツ切れそうになる。

山里への若者の「定住促進」というのは、かなりきびしい。働くにいく「仕事」がないからだ。家賃がタダ同然、野菜はもらえるなど、生活コストが安く抑えられても、「現金収入」がなければやっていけない。まちなかに働きにでたら、時間とガソリン代が高くつく。

だから、〈自分で仕事をつくれるひと〉か、〈定年退職して年金があるひと〉しか、山里暮らしはむつかしいのが実情だ。

自分で仕事をつくるためには、やはり高速インターネット回線はほしいところだ。また、そこに光回線がきていないということだと、山里に暮らしたいというひとも、二の足を踏む。過疎地でも高速インターネットが整備されているのなら、ひとつの魅力としてアピールできる。四国など整備されている。

光回線を引くというのは、道路をつくるのとと同様に大切なことなんだけどね。……まあしかし、光がどうのというよりも、みんなスマホになっていく。3GからLTE回線で通話していく時代。そのうちどうでもよくなるのかも。ただ現状は、LTEは障害物に弱いので、山の中では使えない。

蓄積された貴重な資源となりうる

間伐されず、伐採されず、密集したスギ・ヒノキの森ばかりの山里。鬱蒼として昆虫や動物も暮らせない。ひしめきあったスギ・ヒノキたちも生き苦しそうだ。成長して背丈を延ばし、次第に暮らしの場に日もあたらくなっていく。

樹を伐れば赤字で、人件費が出ない。なんとかしたいものだけども、なんともできない。放置されたまま、つぎの世代へ。

しかし見方を変えれば、それは、蓄積された貴重な資源となりうる。いつか材木の需要が増加するみともある。きっと。あるいは、木質バイオマス発電が活発になる。あるいは、鉄鋼よりも強靭な集成材になる(ALC)、繊維質を活用して軽量、弾性、強靭な素材にもなりうる(CLT)。

そうしたものがちゃんとビジネスとなって、雇用を生むまでには、何十年もかかるだろうけど。そうなったら、山里に雇用が生まれる。山里に暮らす人たちも増えてくる。けれども、それまで集落がつづいていくのか、どうか。そういった話を、元自治会長の松本さんと、スカイプでお話した。