過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

田んぼは農業の王道だと思う

朝から激しい雨が続くので、ひさしぶりにきょうは田んぼ仕事をせずに骨休めだ。朝の6時から、4人の仲間との田んぼ仕事は、20日間も続いている。

田んぼは農業の王道だと思う。やる仕事は限りなくある。まさに「百姓」。百の仕事がある▲草刈り、土を耕し、川からの水を引いて貯水湖みたいにする作業。水漏れ箇所の修復、耕作地を水平にする。稲がある箇所では干上がり、ある箇所では水没してしまうからだ▲次々と生えてくる雑草対策。チェーンをつなげた道具を作って水牛のように引っ張って歩いたり、デッキブラシで小さな雑草をこそぎおとしたり。そして、獣害対策で電気柵を設置したり▲秋には実ったら稲刈り、稲架掛け、脱穀。さらには餅つき。こうして、たくさんの仕事がある▲こうした仕事は、とても一人じゃできない。仲間との呼吸合わせ、協力、調整、意思疎通がいる。そういうやりとり能力も試される

手間がかかる、採算が取れない、たいへんだ。それは事実。お米つくって収益を上げて暮らしていこうとしたら、難しい▲しかし、楽しみとして、生き方として、仲間づくりとして、気分転換として、体力づくりとして、そんな田んぼづくりがある▲さいわい、この山里は、耕作放棄地ばかり。貸してくれる田んぼは、いくらでもある。放置していたら草刈りがたいへんなので、田んぼにしてくれたら喜ばれる。ほとんどタダで貸してもらえる。

田んぼをやっていると、収穫以外にも、いいことがたくさんある▲早寝早起きの習慣がつく。寝付きが悪くて、寝起きの悪いぼくが、10時くらいには布団に入っている。ちゃんと眠れるようになっている。毎朝5時半には起きている。その習慣がついただけでも、これはたいへんな財産だ▲足腰が鍛えられる。ふだん使わない筋肉のトレーニングになる。裸足で田んぼを歩くだけでも、すばらしい筋トレだ▲スポーツジムとはちがって、大したお金はかからない。そうして、ちゃんと稔りを産むという〈生産性〉があるところがいい。

さらには、仲間づくりだ。まさに苦楽を共にして、知恵を出し合う。そういう仲間ができるということ。これこそ大きな財産だ▲そういう仲間たちと、こんどは大豆をつくろう、小麦をやろう、蕎麦もいいね。蓮田にしてみようか。次は、炭焼き窯で竹炭をやろう。お茶はどうだろうか。竹細工をやろう。そうなふうに、展開していくことになる▲一人じゃできないことも、気のあった仲間がいれば、いろいろとできる。楽しい。活気が出る。知恵が湧く。そういう楽しみが田んぼづくりにはある。