ガラガラと音を立てながら、糸が紡がれていく。これは綿花から糸を紡ぐ機械だ。明治の頃に考案された紡績機で、動かすときにガラガラというので、ガラ紡と呼ばれる。一台40万円くらいで売られていた。
先日、浜名湖クラフトフェアに出かけた。いろいろ楽しい作品、道具、作家たちに出会った。なかでもこのガラ紡がいちばん、めずらしいものだった。
糸が紡がれる過程は、まず円筒形の容器に綿を詰める、そこから綿を上に引き出して円筒形の容器が回転しながら紡がれていく。糸の太さは自動的に調節されていく。明治の頃は、木の歯車で動力を伝えたが、この機械はプーリーを使う。
江戸時代につくられたカラクリ人形のような趣がある。紡がれる糸も、ちょっとムラがあって素朴な味わいがある。こういう機械を、部品をさがして加工して組み立てるという、その工夫と努力に感心したのだった。