過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

刺青はやはり

わがやには田舎暮らししたいとい人がよく訪ねてくる。その人の人生の節目になりそうなことに関わるのはおもしろいので、あちこち空き家を案内する。もちろんボランティアだ▲先日、若いカップルに山の中の一軒家の空き家を紹介した。「池谷さんの知りあいなら安心だし、空き家のままで朽ちていくだけのところに、住んでもらえるだけでもありがたい」と家主のおばあさん▲もちろん家賃は、タダ。これから、みんなで遊べる企画が浮かんできて楽しみだった。

あれから2週間。おばあさんが「やはり貸すのはお断りしたい」と、訪ねてこられた。▲理由は、刺青。どうもその青年がTATTOOをしているらしい。そこを訪ねてくる友人もTATTOOをして、近隣の顰蹙を買ったらしい▲かれらは、レゲエが好きだという。こういう音楽系の人たちは、ファッションとしてTATTOOをしていることがある。でも、なにしろこういう閉鎖的な山里だからなあ……▲刺青というと、やはりカタギじゃないと思われる。アブない人たちが、自分が暮らしてきた土地をへんなふうに荒らしたりしたら、先祖に申し訳ない、そんな思いが出てきたのだと思う。

まあ、そのあたり、最初はきちんと明るく挨拶して、いい人が来てくれた、ありがたいというような関係になってから、じつは刺青しているらしいということになっても、問題はないと思うけど。いきなり刺青男が数人徘徊したりするとなると、山里では難しいと思う。

ところで、ニュージーランド先住民族マオリの言語指導者が、顔の刺青を理由に温泉施設の入館を断られたとニュースにあった。刺青はマオリの尊厳の象徴なので、日本のヤクザに見られる刺青とは事情がちがう▲でも、どこかで線を引かないと。日本の刺青だって文化伝統、生き様の尊厳と言えないこともないってなことになると、なし崩しになるからね。そしたら、一般客が怖くて逃げていくから。