過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

【身も心も軽くありたい】2025.12.14

【身も心も軽くありたい】2025.12.14

「心を鎮め、精進につとめ、わが身ひとつに楽しむ人は、白鳥が池を離れるように、この家、あの家を捨てて去る。」(ダンマパダ91)

多くの物を持たない者は、自由に身軽に移り住むことができる。
私などは物が多すぎる。土地に建物、もろもろりしがらみがあり、身動きがとれない。
加えて、病を得たこの身体は、動くこと自体がますます難しくなっている。
それよりも、この心身そのものが、この世界から別の次元へと強制的に“引っ越し”させられそうだ。
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年齢という常識の枠を軽々と飛び越え、「これから」を生きようとする二人がいる。
一人は83歳、もう一人は72歳。新たな挑戦を続けるその姿に、私はただただ感心する。

田中康彦さんは、83歳で浜松から北海道苫小牧へ移住した。その身軽さには驚かされる。
高齢になっても健康で元気。とらわれない自由さを存分に楽しんでいるようだ。

田中さんが10年間暮らした春野から二俣に引っ越したのは、アルツハイマー認知症を患った奥さんのグループホームが近く、ケアをするためだった。
ところが、隣家からのもらい火で自宅が全焼してしまう。
そこで、阿多古川の近くに再び移り住んだ。
そこで伝統和紙の工房を立ち上げた。やがて多くの人の交流の場となり、若い世代が和紙づくりを継承する拠点ともなった。

そして10年後。今度は、娘さんと孫さんがいる苫小牧へ移った。
北海道の新天地は明るく広々としている。温泉も多く、アイヌ文化にも触れられる。
彼は中国語が話せるため、中国人の友人も次々と増えているようだ。

いつかは、現在制作中のモノコックカヤックアムール川を下るという長年の夢を実現させるかもしれない。
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もう一人の友人はOさん。72歳の女性だ。
朝鮮半島に近い壱岐島から、一年前に春野へ移住してきた。我が家からさらに奥、川上という山あいの地である。
ただ、あまりに山深く生活に不便だった。道路も雨で崩れやすい。そこで、街に近い二俣の方へ引っ越すことにした。

壱岐島で「キッチンかまど」を営んでいた経験を活かし、ここでも志を共にする相手が見つかり、夢が膨らんで新たな展開が始まっている。

近いうちに阿多古川の近くで店を開くという。江戸時代の東海道五十三次茶店のように、ゆっくり休めて食事もでき、人と人が交流できる場所に。さらには動物との触れ合いの場にもしたいと考えているそうだ。
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こうして友人たちが、身軽に挑戦し続ける姿を目の当たりにしている。
彼らは「老い」という経験を糧に、新たな自由と挑戦の章を生きているようだ。

年齢に関係なく、いつでも動ける身軽さがどれほど大切か。
私はもはや自分で挑戦し、行動することは難しくなった。

けれども、そんな彼らと縁があり、共に語り合いながらサポートさせてもらえる。
自分にはできないことを、彼らの行動を通して追体験できる。彼らの喜びを共に分かち合える。

年齢は関係ない。挑戦する者には、純粋なエネルギーと自由と躍動があるんだなあ。