【①マザーテレサ訪問記】2025.11.24
ユダヤの一部族が日本に来たという説がある。彼らは「アーク(契約の箱・聖櫃)」を熊野の奥深くに埋めたとされる。荒唐無稽で壮大なオカルト伝説だ。
「アーク」とは、旧約聖書に登場する「契約の箱」のことで、神との契約である十戒が刻まれた石板を収めた神聖な箱である。
その埋められた場所が、実は熊野の玉置(たまき)神社の境内地だという。
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「そのアークを発掘することが自分の使命だ」と信じる人物がいた。
彼はユダヤ人と日本人が同祖であるという説を信奉し、食品会社を経営していた。会社のマークには、ユダヤのシンボルであるダビデの星(六芒星)を用いていた。
ある神社で彼は、「アークを発掘するには、まずマザー・テレサに会いなさい」という不思議なお告げを受けた。
当時、マザーはご健在である。しかし、彼はインドに行ったことはない。ノーベル平和賞を受賞した世界的偉人のマザー・テレサに、簡単に会えるはずもなかった。
それでも、お告げである以上、会いに行かねばならない。どうすればいいのか。
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彼はまず、その話を奈良の天河大弁財天社(天河神社)に相談しに行った。
当時、天河神社は「精神世界の六本木」とも呼ばれ、ニューエイジやオカルトに関心を持つ人々が集う場所として知られていた。
柿坂神酒之祐(かきさか・みきのすけ)宮司から、「ああ、それなら詳しい人がい」と、山田龍宝氏を紹介された。
龍宝氏は仏教や瞑想、オカルト系やドラッグのことなどなんでも詳しい。
龍宝氏は1970年代、サンフランシスコの禅センターで曹洞宗の僧侶としてアメリカ人に禅を指導した人物である。その後、ヒッピー運動の渦中で日本山妙法寺の藤井日達上人と出会い、団扇太鼓を打ちながら「南無妙法蓮華経」と唱える平和行進に参加した。
やがて「僧侶でいるのは窮屈だ」と感じ、禅センターを辞め、日本の自坊も友人に譲ってしまった。
龍宝氏は当時、国立市にある私のアパートにたびたび泊まりに来て、まるで定宿のように滞在していた。その龍宝氏が彼にこう助言した。
「インドのことなら、東京・国立に住む池谷さんが詳しい。訪ねて相談してみたらどうですか」
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こうして、その食品会社の社長が突然、私を訪ねてきたのだった。
私は日本とユダヤの同祖論や、玉置神社とアークの話には、さして関心がなかった。「アークを発掘するにはまずマザー・テレサに会え」というお告げのぶっ飛び具合がおかしい。だが、真剣そのものの社長と話しているうちに、何だか珍道中になりそうな予感がしてきた。
彼は「旅費と滞在費はすべて負担するので、インドを案内してほしい」と言う。
まあ、なりゆきというのか、これも縁かと思い、私は結局、一緒にインドを旅することにした。
アーク→天河神社→元ヒッピー僧侶→私というリレー方式でインド行きが決まっていく感じが、なんだかスピリチュアル・ドタバタ劇のようだなあと思った。
※「私の宗教・精神世界史」の執筆のためにペースメーカーとして投稿しています。えんえんと続きます。