【①天野さん】2025.11.7
今回は、「霊的リアリズム」へと踏み込んでいく。
ある時、天野さんという、また一味違うタイプの霊能者が訪ねてこられた。
その方は常に薬草茶と小さなリン(仏具などの鐘)を持ち歩き、リンを鳴らして波動を調整する方だった。リンが発する響きで、場の気や霊的な歪みを浄化する方である。また、植物が発する霊的な波動を感じ取る能力にも長けていた。
ヨモギが血液の浄化に良いというので、天野さんはよくヨモギ茶やヨモギを使ったお灸を勧められていた。その霊的感知方法は実に独特だった。
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まず一つは、自分の指を弾き、イメージした対象物に霊的なエネルギーを向ける。すると、そこから反射して返ってくる感覚で、対象の状況を感知するという方法だ。
もう一つは、親指、人差し指、中指を重ねてクルッと回す。この時、指が滑らかに回るか、あるいはどこかで引っかかるかによって、その人の状態を読み取るのである。
この方法は、目の前にいない人物に対しても有効だった。対象の人物をイメージしながら指を弾いたり回転させたりし、その動きの重さや軽さ、引っかかりや滑らかさから、その人物の現在の状態を感知することができたのだ。
私が「過去にこんな人物に会って、こんなことがありました」と話すと、天野さんは三本の指をくるりと回し、「それは、こういう人物でしたね。池谷さんのことをとても心配してくれていたのに、残念な結果でしたね」などと応じることができた。
ただ、私自身には、そうした感性はまったく備わっていない。
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その天野さんが、長尾先生の部屋に泊まったことがあった。部屋に入るなり、彼の顔が曇った。
「すごいな。不成仏霊がたくさんいるな」
彼はそう呟くと、「これは浄化しないといけない」と、小さなリンを取り出した。
「チーン」。リンが澄んだ音を響かせる。
「ああ、不成仏霊が一体」。
再び「チーン」。
「ああ、二体」。
なかなか不気味でちょっと恐ろしい場面であった。
そうして天野さんは、何十体もの不成仏霊を浄化し、部屋を霊的にクリーンな状態にしたのであった。わたしにはわからない世界ではあるが。
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以前、二千件もの葬儀を執り行い、死後の「本人」(霊的な存在)を感知したことで、自らも霊的な体験をされた大島さんのお寺の霊的浄化に、長尾先生とともに言ったことがあった。
お寺の入り口に踏み入れると、「うわあ、すごい霊の数や。火葬場みたいや」と言われていた。
どうやら今度は、長尾先生が拠点としている場所に、不成仏霊の残留体のようなもの、あるいは浮遊霊がたまっているらしい。
私には、そのあたりの霊的な事象はまったく理解できない。しかし、霊的な波動を感じ取れる人には、それがわかるものなのだろう、と感じ入った。
霊感が強い人には、さまざまな霊的存在が自然と寄って来るのかもしれない。時には、不成仏霊が、その人を通じて救いを求めて近づいてくる場合もあるだろう。だから、たとえその人がその場にいなくても、その人が生活する場所には不成仏霊が滞留していることがある。天野さんは、まさにその場所を浄化しようとしていたのだ。
私自身も、かつてある霊能者から「あなたはいろいろな霊を引き寄せやすい体質のようですよ」と言われたことがある。まあ、この世界は強い主観が介在するものなので、真偽のほどはわからないのだが。
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大島さん、長尾先生、天野さんという三者の“霊的実践者”が登場し、彼らがそれぞれ異なる方法で「浄化」や「感知」を行っている現場に接した時代であった。
同時にスマナサーラ長老のヴィパッサナーの実習も企画したり、麻原彰晃の法話の企画までするという、いまから思うと、「盲蛇に怖じず」という時代であった。
また、これは90年代という日本における霊的探求や新興宗教への関心の多様で混沌としたエネルギーが沸き起こっていた時代が背景にあるとも言える。(続く)