【ベトナム寺院との出会い】2025.10.19
「あれ? あそこに不思議な寺がある。行ってみようか」
クラフトフェアにいくために浜名湖へ向かう途中、不思議な寺を見つけた。
行ってみると、そこはベトナム寺院だった。表札を見ると、「天恩寺(Chùa Thiên Ân)」とある。
境内には巨大な布袋様(ベトナムでは弥勒菩薩)の像が安置されている。
声をかけたが、誰もいない。しかし本堂の引き戸は開いていた。
失礼ながら勝手に中に入らせていただく。そこにはなかなか派手な装飾の仏さまが何体もおわした。
礼拝していると、外で作業する気配がする。
「お邪魔しています」と声をかけた。
応えてくれたのは、ベトナム人の女性、40代くらい。ホアさんだったという。日本語は通じる。
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「訪ねてきてくれて、とても嬉しいです。おもてなしをしたい」
満面の笑み。心の底からの歓迎が伝わってくる。ティク・ナット・ハン師の本もいただいた。
しばし会話して、「ありがとうございました。そろそろ失礼します」と挨拶して帰ろうとすると、
「お待ちください。せっかく来ていただいたのだから、どうぞ昼ごはんを食べていってください。これから作ります」
と言う。こういうとき、私はほとんど遠慮しない。
「それは嬉しいです。ありがとうございます」
そうして、四人分のごちそうがでてきた。
これがとっても美味しい精進料理だった。肉のような食感だが、素材は大豆でできている。
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この寺院との出会いで感心したのは、次の5つだ。
① 寺は「在日ベトナム人みんなの寄り合いの場」であり、常に法要が行われている。
② 土木工事も寺院建築も、在日のベトナム人たちが自らの手で作り上げた。
③ 私たちのような日本人にも、心からもてなし、喜んでくれる。
④ 食事をごちそうしてくれた上に、本もいただいた。
⑤ お金は取らない(お布施は希望者のみ自由に)。
日本の多くのお寺ではなかなか経験できないことばかりだった。
以来、ベトナム寺院「天恩寺」とは、親しくさせていただいている。偶然の出会いが、温かい交流へと発展し、さらには継続的な関係性にまで至る。「縁」に導かれた小さな物語のはじまり。
※『わたしの精神史・宗教史』の本作りのために、ペースメーカーとして原稿を投稿しています。