【ハラリとヴィパッサナー】2025.4.15
「こんな頭脳の明晰な人が基盤にしているのがヴィパッサナーなんだ」と知って、あらためてヴィパッサナー実践のモチベーションが湧いてくる。
ユヴァル・ノア・ハラリ(Yuval Noah Harari)は『サピエンス全史』や『ホモ・デウス』など、世界的なベストセラー(累計4500万部以上の発行)で知られている。歴史学者、作家、ヘブライ大学(エルサレム)歴史学部教授。
ハラリは、人類史を大局的に描きテクノロジーと人類の未来を考察している。その鋭く深遠な歴史の洞察は、ヴィパッサナーの体験に基づいている。
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しかしヴィパッサナーを体験した当初は「どれほど努力しても、息が自分の鼻を出入りする実状を10秒と観察しないうちに、心がどこかへさまよいだしてしまう」「自分をほとんど制御できないことがわかった」と述べている。
そして、こう語る。
「この気づきが、歴史や未来を客観的に分析する基盤となった」『サピエンス全史』や『ホモ・デウス』を書く際、膨大な情報の中から本質を見極める必要があった。ヴィパッサナーの呼吸観察を通じて鍛えた集中力が、このプロセスを可能にした。」
以下に、ハラリの体験を紹介する。
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「瞑想を始めた当初、ただ呼吸を観察しようとしたが、心はすぐに過去の記憶や未来の計画、想像上の対話に飛び跳ねていった。たとえば、誰かとの議論を思い出し、『あの時こう言えばよかった』と勝手にシナリオを書き換えていた。これが自分の心の癖だと気づくまで、私はその物語に完全に巻き込まれていた。」『21 Lessons for the 21st Century』
「最初は、身体の感覚に集中するのが退屈だと思っていた。鼻や胸の動きしか感じられなかったが、数日経つと、足の裏や背中の微妙なうずき、熱、圧迫感に気づき始めた。それはまるで、初めて自分の身体と本当に出会ったような感覚だった。」インタビュー(例: The Guardian, 2018年)
「瞑想中、膝に鋭い痛みを感じた。最初は我慢しようとしたが、指導者に従って『ただ観察する』ことにした。すると、痛みが固まったものではなく、波のように強くなったり弱くなったり、移動したりしていることに気づいた。数分後、痛みは消えていた。初めて、頭で理解していた『無常』が身体で腑に落ちた瞬間だった。」『21 Lessons for the 21st Century』および講演(例: TED Global, 2015年)
「初めての10日間コースは、正直、拷問のようだった。1日10時間以上座って瞑想するのは気が遠くなる。3日目には『もう逃げ出したい』と思ったが、コースを終えた後、これまで知らなかった静けさや集中力を感じた。それ以来、毎年リトリートに戻っている。」インタビュー(例: Vox ポッドキャスト, 2020年)
「瞑想を始める前は、締め切りに追われたり、議論で感情的になると、すぐにパニックに陥っていた。だが、ヴィパッサナーを実践してから、ストレスや怒りが湧いても、それを『観察』できるようになった。たとえば、原稿がうまくいかない時、苛立ちをそのまま感じるのではなく、『これは一時的な感覚だ』と気づけるようになった。」 『ホモ・デウス テクノロジーとサピエンスの未来』(謝辞およびインタビュー)
「自分の呼吸を観察していて最初に学んだのは、これまであれほど多くの本を読み、大学であれほど多くの講座に出席してきたにもかかわらず、自分の心については無知に等しく、心を制御するのがほぼ不可能だということだった。どれほど努力しても、息が自分の鼻を出入りする実状を10秒と観察しないうちに、心がどこかへさまよいだしてしまう。
私は長年、自分が人生の主人であり、自己ブランドのCEOだとばかり思い込んでいた。だが、瞑想を数時間してみただけで、自分をほとんど制御できないことがわかった。私はCEOではなく、せいぜい守衛程度のものだった。」『21 Lessons for the 21st Century』
「ヴィパッサナー瞑想の技法を手ほどきしてくれた恩師サティア・ナラヤン・ゴエンカ(1924~2013)。この技法はこれまでずっと、私が現実をあるがままに見て取り、心とこの世界を以前より深く知るのに役立ってきた。
過去15年にわたるヴィパッサナー瞑想の実践から得られた集中力、心の平穏、洞察力なしには、本書は書けなかっただろう。」『ホモ・デウス テクノロジーとサピエンスの未来』(謝辞)
(ユヴァル・ノア・ハラリ『ホモ・デウス テクノロジーとサピエンスの未来』、河出書房新社)
ハラリ氏は、ヴィパッサナーの核心を「現実と虚構を分ける」ことだと捉えている。
「歴史家として、宗教や民族、経済の物語が人間の想像にすぎないと見抜く必要があった。ヴィパッサナーは、感覚を通じて『今この瞬間』を観察し、心が作り出す物語や不安、執着から距離を置く技術だ。
最初の瞑想コースで、呼吸に10秒以上集中できなかった経験を通じて、自己の心の動きを理解した。この気づきが、歴史や未来を客観的に分析する基盤となった。」 『21 Lessons for the 21st Century』およびインタビュー
「『サピエンス全史』や『ホモ・デウス』を書く際、膨大な情報の中から本質を見極める必要があった。
ヴィパッサナーの呼吸観察を通じて鍛えた集中力が、このプロセスを可能にした。毎日2時間の瞑想で、メールやSNS、雑念に埋もれがちな心を整えている。」インタビュー(例: The New York Times, 2019年)