【島田啓介さんとあかりとの対話】2025.2.25
①おとうちゃんの家が寒くてぐちゃぐちゃなこと
②暖は炭を熾していること
③あかりは漫画を描いていること
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2月の寒い日、おとうちゃんとあかりと康ちゃんは、藤野市の原田さんの家に泊まっていた。
木の香りがほのかに漂うすっきりした家は、なんとも優しい波動に満ちている。そこへ、翻訳家の島田啓介さんが訪ねてきた。
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あかりはソファにちょこんと座っていた。島田さんが語りかける。
──おはよう、あかりちゃん。今日はね、おとうちゃんにインタビューしようと思って来たんだよ。
「え、インタビュー? 何を聞くの?」
──本の作り方さ。お父ちゃんってさ、いろんな人の話を聞いて、それを丁寧に集めて、一冊の本にしたことあるだろ。あれ、すごいよな。みんな90代なのに元気でさ。あの本、読んでてほんと面白かったんだ。
「でもさ、その本に出てた人たち…3、4人、もう死んじゃってるんだって」
──え、もうそんなに?
「だって、みんな90代なんだもん。みんな死ぬよ。順調に…死んでるんだ」
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──ううむ。順調かぁ。確かにね。みんな死ぬよね。あかりちゃんもいつか死ぬわけだし、私だってさ‥‥。実はさ、僕も最近、意識して面白くならないようにしてるんだ。
「え、どうして?」
──だってさ、あんまり面白いとエネルギー使いすぎて、燃え尽きちゃうみたいなんだよ。楽しくて、楽しくて、心が溢れちゃうから。歳をとるとさ、面白さも少し抑えないと持たないんだ。
「ふうん」
──原田さんの家はどう? あかりちゃん、楽しいかい?
「楽しいよ! ここ、ほんと大好き」
──でしょう。かっこいいよね、この家。
「おとうちゃんの家とは、全然違う」
──そうなんだ。おとうちゃんの家ってどんな感じなの?
「ホコリがすごくて…ぐちゃぐちゃでさ。食卓だって全然片付かなくて、進めないんだ」
──うわ、その表現、強烈すぎるでしょう! もうちょっと優しく言えないのかなあ?
「でも本当に寒かったんだよ。ぐちゃぐちゃで、冷たくてさ」
──寒いかぁ。でも、暖房って炭でやってるんでしょ?
「うん。だからね、こたつの布団を開けるたびに、煙がもわっと出てくるの」
──うわっ、煙って…それ、よくないでしょう。お父ちゃんの肺に悪いんじゃないか? 毎回煙が出てるとか、体が心配だよ。気をつけないと。
「開けるときだけ息止めてるよ」
──炭を熾すのは、あかりちゃんがやってるの?
「ううん。私は別の家にいるから。でも、朝、お父ちゃんと一緒にいるときには一緒に炭を熾すの。うちわで扇いだり、火吹き棒を吹いたりしてさ」
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池谷と島田さんが語り合う時、となりであかりは漫画を描いていた。
「これ何だと思う?」
──猫の塊。わーすごい。これかっこいい。これなんて題をつける? テーマは?
「テーマ。猫の塊。猫じゃらし」
──バケネコレーダーっていうのはどうですか?
「やだ。」
──これサインをして僕にくれませんか?
「いいよ。でもサインって何?」
──あかりちゃんの名前を書いてくれることだよ。
「いいよ。サインこれでいい?」
──ありがとう。かっこいい。ラブもある。すごいよ。Tシャツにしてもいいよ。これを大きくしてTシャツにするの。かわいいし。エネルギーがここに。僕らには描けないしね。
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「どの色一番好き?」
──どれもいいね。一番最初のフレッシュなのがインパクトあるね。最初のね、びっくりしたよ。そして発展型。始めよし最後よしみたいなみんなよしとし。全てそれぞれ味わい深いな。きれいに装丁したら買ってくれる人がいると思うよ。
「これはおとうちゃんの話を聞いてて描いたんだよ。その話が入ってるんだよ。こういうのってポストカードになる?」
──きっとなるよ。Tシャツにするのがいいと思うよ。プリントするの。こういうのぼくはTシャツにしたいな。どれかいいかなあと迷うレベルだよ。すごいレベルが高いと思う。こむういうシンプルなワンポイントこれがいいね。これなんかもいい。猫鍋もいいけど、猫のコップコップとかさ。これも一番最初のシンプルなのがいい。
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古い家。埃っぽくて散らかった部屋。こたつの周りに漂う炭の煙。
早朝、おとうちゃんとあかりが炭を熾している。
今は寒くて、ぐちゃぐちゃかもしれないけれど、それでもやがて柔らかくて、落ち着いた空間になっていくのかなあ。
こうして、あかりとの珍道中は、いろいろな人との出会いがあって、次々とドラマが起きていく。



