【布絵作家の竹山さん】2025.1.25
①シングルで二人の子育て 60歳を超えてからの創作活動
②80歳からクロスステッチを
③本を二冊つくらせてもらった 秋には個展を
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布絵作家の竹山さんを訪ねる。90歳になる。
毎日のように、布絵や布の小物を創作している。
元気で暮らしているのも、布絵づくりのおかげだという。
山里から〈まちなか〉まで、往復3時間。長年放置していた土地と家の登記申請に法務局まで出かけた。ついでにあちこちに寄るのだった。
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竹山さんは、60歳から布絵作りをはじめた。もめんが大好きという。
80歳を超えてから、はじめての本「もめん大好き」を出版。そして昨年は、その第2集。2冊とも、わたしが作らせてもらった。
「今日は誰もいないし、話し相手もいないから来てもらって嬉しいわ」
──それにしても元気でいいね。僕のほうはもう体調が悪くていつまで生きてるかわかんないよ。家内も調子がよくない。
「あらまあ、元気になってくださいね。娘さんはどうしてるの?」
──あかりだけは元気ですよ。また連れてきますよ。
いつもあかりがついてきて、助手のようにあれこれと動いてくれるのだった。一冊目のときには、あかりはまだ生まれていなかった。二冊目のときには、あかりが横でいろいろサポートしてくれた。「おもしろい親子ね」と竹山さんは笑う。
「私も昨年は帯状疱疹にかかったり、風邪をひいてずっと調子が悪かったの。やっと元気になってきて、ほら、こんなに作り出したのよ」
そう言って、いろいろな作品を見せてもらった。
いまは、竹久夢二のデザインを見ながらクロスステッチをやっている。夢二のデザインって、ほんとうにいいな。
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シングルで二人の子どもを育てた。母子寮で暮らしながら保育園に子供を預けてひたすら働いた。
当時は、風呂もなくて銭湯。子ども二人を連れて行くのも泣きながらだったという。
みんなで死のうと思ったことは何度もあったという。
二人の子どもは、お母さんを大切にしてくれて、交代で東京のほうから泊まりに来てくれる。
「ほんとうにいい子に育って、涙がでるわ」
──おかあさんが、いっしょ懸命に働いて子育てしてくれた背中を見ていたので、お母さんを大事にするんでしょうね。
60歳になって仕事を辞めて、布絵を始めた。クロスステッチを始めたのは80歳から。
作品を作っては、いろいろな方にプレゼントしている。いつも行くたびに、木綿でつくった財布やらバッグやら頂いている。今回は、古布をどっさりいただいた。まあ、わがやは場所だけは広いので収納場所には困らない。
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──2年前に大雪の日に、くんまという山奥で、和紙作家の大城さんと「二人展」をやりましたね。もう大城さんも96歳で亡くなったばかり。お互いに元気だったら、今年の秋には展示会をやりましょうかね。
「そうね。池谷さんがやってくれるなら」
──やれるうちに、やりましょうかね。なにしろみんなの希望になると思います。
とはいうものの、ぼくなんかいつなんどき逝くかわからないけど。人に会う時はいつもこれが最後だって思ってますよ。
「私もそうよ。そんな気持ちでいつもいます。でも池谷さんに出会って本当に良かったわ。もう2冊も本を作ってもらったし。96になる姉も本当に喜んでくれて、みんなにこの本を配って、そして昨年の秋に亡くなったの」
──そうでしたか。亡くなる前に本ができてよかった。喜んでもらえてありがたいです。