スマナサーラものがたり 通し番号113
※まだ原稿にしてないところがいくつかありました。これは一番最初に「本作り」をお願いした時ZOOMでやり取りしたもので追加です。
【母が作る物はなんでもおいしい】
母が作る物は何でも好きでしたよ。それって、いわば人間の基本でしょう。
どんな人間でも世界一おいしいのは、お母さんの作った料理だと思います。
好き嫌いの激しい子どもがいのすよね。ネギとかピーマンとか台嫌い。それでもお母さんといものは、見事に子どもにピーマン食べさせてしまうんですね。
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少年時代のことです。この村のお寺でご飯を食べることになったんてです。その時の料理は、長ネギだったんですね。 どうして、こんな料理を食べなくちゃいけないんだろうと思いましたが、無理していただきました。
でも、あとから気持ち悪くなって、全部吐いてしまいました。
それでもうお寺には用事はありませんから、さっさと家に戻ったんです。
「ご飯食べたい」っていうと、 母がご飯と一品だけの料理を出してくれたんです。 それがとってもおいしくて、すべていただきました。
「どうだい、お母さんのつくったものはうまいだろう」と自慢するんですね。
「お母さんのつくるものは、なんでもおいしいね。絵お寺で長ネギを出されたんだけど、とてもまずかった。吐いちゃったんだよ。人間ってどうしてあんなもの(長ネギ)を食べるの? 」と言いました。
すると、母が「おまえは、なに言ってるんだい。いまおまえはなにを食べてるの? 」と言うんです。
それで、よく見たら長ネギの料理なんです。 びっくりしたんですよ。あの吐きそうなくらいまずい長ネギが、こんなにおいしいなんて、と。
それくらい母親が作る料理というのは、子どもにとっておいしいんてすね。心が通じ合っていれば、 同じ物を食べてもまた全然違うんですね。
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ただ私にとっては、 じつのところ料理というものは、どうでもいいんですよ。
ただ物を体に入れるというふうに食べているんです。
食事に呼ばれたとします。その方は、腕にヨリをかけて作っていただいたとしても、わたしには料理を味わうって気持ちはほとんどないんです。 せっかくの手料理だから、ありがたいんですけど、いただいたものだから食べなくちゃいけなくて困ることもあります。
私にとっての食事は、エネルギーや栄養になるものを体に入れる、体に染み込む。それだけ。 だから「あなたの好きな食べ物は何ですか?」と聞かれても、自分は知らないんです。