過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

今のところ、抗繊維化薬は効いているみたい

診療室から夫婦が出てきた。80代に見える。奥さんのほうは元気そう。夫はクルマ椅子。
あんたこうして、ああして、あれはどうしたの。と、まるで息子のように夫を扱っている。それが面白くて、と声をかける。

「こいつをはやく殺さんと、わしが逝けんからねー」と夫を指さしていう。

──奥さんが、先に逝ったらたいへんなことになりますね。

「そうなんだよ。わしが先に逝ったら、こいつは天竜川に入って死ぬといっている。なあに、こいつはクルマ椅子なんで、行けるわけがないよ」

みんなで笑う。その夫婦を見ていたら、漫才のようであった。
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病院で受診。患者の少ない病院なので、待ち時間に気軽に声をかける。どんな病気でどういう治療を受けているんだろ。聞いてみると、患者も話し相手として悪くないようなので、いろいろ喋ってくれる。

無呼吸症候群で仮死状態になった人、20代から長年リウマチの人。まあ、次から次へといろいろだ。
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わたしの番が来たので、診察室に入る。

「うわっ、池谷さん。相変わらず焚き火やってます?」

──はあ、毎朝、掘りごたつの炭を熾しますし、お客さんが来れば焚き火しています。

「まあ、肺には決してよいとは言えませんが、それぞれですからね。動物アレルギーなのに猫が好きで飼っている人もいますし」

──しかし、そんなに臭いますか。

「はい。入ったらすぐに分かります。燻製みたいないい匂いがします。あれ?桜のチップでも使ってるのかなと言うくらい、美味しそうな」

まあ、そんなやりとりがあった。
今のところ、抗繊維化薬は効いていて、特に問題はなさそう。