スマナサーラ物語 葉っぱに書かれた経典 通し番号124
※かつて経典は、口承で伝えられていた。文字にされることはなかった。ある時代から、文字にされる。インドでも同様で、ウェーダなどは文字にされることはなかった。
一時期「アガスティアの葉」などが流行った時、南インドのタミールなドゥに出かけて、自分の運勢を見てもらっことがある。指紋を押すだけで、膨大な葉っぱに刻まれた物を取り出して読みあげていく。やがて父親と母親の名前が出てきた。
「おまえは法律を学んでいるか?」「なにかセミナーのようなものを主催しているか?」。「そうだ」というと、またしらべていく。
まあ、ついにはみつからなかったけれど、そんな文化がある。
以下は、スマナサーラ長老の話である。
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パーリ語の古い経典は、紙の書かれるよりも前は、葉っぱに書かれていました。
全部、テキストがイギリスにあります。もともとはスリランカにあったものですから、それをイギリスが植民地時代に持っていってしまいました。
スリランカから文句を言われて、イギリスは、みんなに読めるようにインターネットに出すことになりました。ライブラリーにコピーを注文すると、もう何100万とか、費用かかるんです。
いかに丁寧に書いているのか、実物を見ると、ものすごい感動しますよ。
書くというよりも、刻んでいるんですね。重たい鉄の小さな鋭利なポイントみたいなのがあって、それで刻みます。丁寧にかっこよく書体を揃えて彫られています。
文字がたくさんになってくると、あるシステムがあって文字を一つにしてしまう。並べて描くんだけど、時々上に下に入れたりしてとかね、いろいろ工夫するんですね。
そうして字のラインがぴったり揃っているんです。
ブッダの教えは、最初は、口承で伝えられ、次にはこうして葉っぱに刻まれ、そして紙に書かれるようになっていったのです。先人の苦労をありがたく思います。