過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

ヴィパッサナー瞑想④ ヘビが出たら大騒ぎ 通し番号99

※たんに見た。しかしそれが、いかに脳内で捏造され、拡大されていくか。それヘビやコブラを例えて話されている。

私などは、巳年生まれだがヘビが苦手で、山里に移住して、マムシなどに遭遇するのが怖かった。ある時、台所でネズミが子どもを生んだ。するとシマヘビがするするするやってきてパクっと飲み込んだのは恐ろしかった。

いまでは、ヘビがいるのは当たり前と思っているので、それほど恐怖はないのだが、やはりびっくりする。インドやタイの島でコブラに遭遇したこともあった。

以下は、スマナサーラ長老の話。
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ヘビのたとえ
ここでヘビでも見たら、もう瞬時に心は汚れますよ。
見た途端、びっくりする、怖くなる、飛び上がってしまう、悲鳴をあげる。
こうなったのは、ヘビのせいだ、犯人はヘビだと思ってしまう。
しかしヘビはなんにもしてない。ただいるだけなんです。

猛毒のコブラがいるとイメージしましょうか。猛毒ですから、噛まれたらすぐ死にます。でも、コブラがいたって、なんのこともないんです。

コブラというのは、ずっと寝てるだけ。
人間みたいに頭はイカれてないんです。

人を見たら攻撃する? そんなことはやりません。
もしも踏まれたら反射で噛むかもしれませんが。
私たちだって、反射ですぐになにかしてしまうでしょう。
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コブラは、なんのこともなく寝ているだけ。
それに文句言っても意味がない。
でも、ここでコブラを見たら、みんなギャーっと悲鳴を上げるでしょう。逃げ回るでしょう。

私たちスリランカの国では、コブラを見たって、とくに気にしません。
ああ、コブラがいたね、それがどうしたの?という程度です。
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こういうことがありました。
ヘビがカエルを追っかけていたんですよ。カエルは、サッと私のほうに飛んできて私の両足の後ろに隠れました。ヘビはせっかく餌を見つけてがんばったのに、悔しい。もう一週間、一ヶ月とか、餌にありつけなかったのかもしれない。それを逃がしてしまった。とても悔しかったことでしょう。

私としても命あるものが、助けてくださいと飛び込んで来たんだから、ヘビの前に出すわけにはいかない。うしろに隠したんです。
ヘビは悔しくてすごく怒ったようです。餓死したくないですからね。
カエルの気持ちもわかるし、ヘビの気持ちもわかる。
私はそれを見ながら、「でも、仕方がないね」って気持ちでいました。

私に対して、ヘビはきっと腹がたったと思います。でも私を噛んだりはしません。やがてヘビも、あきらめたようです。
部屋の中に入っていきました。シューシューと音を立てながら、ガタガタガタやりながら、出て行きました。
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誰だって、ヘビを見ると、いきなり気持ち悪くなってしまうんですね。
コブラがいて、コブラがとぐろを巻いて寝ているだけで、見た瞬間、もう怖くなって、怯えてパニックになって、泣いたり叫んだりします。
日本だと警察に電話かけて、役所に頼んで、みんなを緊急避難させて警戒警報を出して大騒ぎになることでしょう。テレビが報道するかもしれません。街中、大騒ぎです。

これらはみんな頭の中だけで起きた出来事でしょう。
ヘビを見た、そこでおしまい。

けれども、これはヘビだ。噛まれたら死ぬ。噛まれる前に、殺さなくちゃいけない。でも怖くて殺せない。じゃあどうしよう。
そういうふうに、ぐるぐると自分が世界を作っています。