再開します。
スマナサーラものがたり(64)瞑想について⑧
ブッダが涅槃に入る時に伝えたという遺言です。
「比丘たちよ、今こそおまえたちに告げよう。 諸行は滅びゆく。 怠ることなく努めよ。」 (vayadhammā samkhārā, sampādethʼappamādena『マハー・パリニッバーナ・スッタンタ』)
「怠ることなく努めよ」という言葉は、パーリ語のアッパマーダ(appamāda)ですが、中村元先生は「不放逸」(ふほういつ)と訳されています。
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ポイントはこのアッパマーダなんです。
マーダとは、「酔う」ということです。「今の瞬間を見失う」ということです。心がぐにゃぐにゃと揺らいでいる状態なんです。
アは、パーリ語て否定形ですから、アッパマーダとは、なにものかに依存する、あるいは酔ってしまう心に気づいて離れなさい、という意味です。
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アッパマーダとはビー・イン・リアル・プレゼント(Be in real present)なんです。
しっかりと今の瞬間にいなさいと。それが不放逸です。それが、瞑想なんです。それがお釈迦さまの遺言です。
瞑想というのは何のためにするのか。
現実的な人間になることです。
いまここの瞬間の現実にあることなんです。
Be Realityです。Be in real presenです。
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いろいろな瞑想があります。
アセンション(次元上昇)だとか、別次元に行きくのだとか、あるいはマントラを唱えたり。光を見たり、音の響きに入ったり。方法はたくさんあります。
結局、それらは「いまここ」というリアリティーを離れて別のところにいきたいんですね。
そういう瞑想は楽ちんです。気持ちがいいです。
ろうそく立てたり線香を立ててチーンと鐘を響かしたり。南無妙法蓮華経とか南無阿弥陀仏とかもいろいろなマントラを唱えていけば、気持ちが良くなります。
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しかし、大切なのは、Be Realityということです。
この瞬間にいなさい、この瞬間に生きなさい。
私達が生きているというのは、今ここの瞬間にしかないのです。この瞬間にしっかりと生きることです。それが瞑想です。
そして、この瞬間瞬間にいるということは、とてもむつかしいことです。
そのための実践法として、ヴィパッサナー瞑想があります。これは別の機会に細かく説明していきます。
※スマナサーラ長老のインタビューをもとに池谷が構成しています。