大西つねき氏の講演③
日本の体外純資産は33年間世界一。すなわち大金持ちなのだ。
そして、企業は550兆円余の内部留保(2024年5月)。過去最高を更新しているのだ。
内部留保とは、利益剰余金の総額を指す。企業は手元資金を減らす賃上げよりも利益を積み上げ続ける。
企業は、お金を貯め込んでも、設備投資や人件費には充てないために、景気は循環しない。企業はお金が余っていても、従業員は貧しい、働いても働いても豊かにならない。
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そもそも、どうしてこうなったのか。
背景として、まず「プラザ合意」がある。
「プラザ合意」とは、1985年9月22日にニューヨークのプラザホテルで開かれたG5(先進5か国蔵相・中央銀行総裁会議)為替相場の協調介入に関する合意。
米国の「双子の赤字」解消を目的として、ドル高を是正し、円高・ドル安に誘導することを柱とした。
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合意発表から1日で、為替レートは1ドル=235円前後から20円も円高に動き、翌1986年7月には150円台まで円高が進む。やがて2011年10月31日の1ドル=75円32銭、それが過去最大の円高。
ドル安によって米国の輸出競争力が向上し、貿易赤字が減る一方、日本では輸出が減少して国内景気が低迷した。また、円高は輸出企業の業績悪化を招き、企業は海外に生産拠点を移す。
円高になれば輸出は厳しいが、日本はコストカットで乗り越えた。コストカットの中身は人件費。サービス残業。それが今も続いている。