過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

一般読者を相手にするんじゃなくて、本を出したい人がお客さんはというビジネスだ。そこにマーケットはあるにはある。

みなさん本を読まなくなった。だから出版社はどんどん潰れるわ、週刊誌や月刊誌は休刊、書店は閉鎖になる。出版に身をおく者としては、先行き、まことにきびしすぎる。

興味と関心、問題意識があれば、家に居ながらどんどんと極められる。ちょっとした疑問。調べ物は、ネットで数秒、その場でわかる。法律的なことも瞬時だ。

コロナやワクチン、いまの政治や経済、国際情勢などネットは迅速だ。そして多面的な意見、そして現場の声が聞ける。おもしろいもの、じいんと心に響くものもネットでみつけられる。

ロープの縛り方、ストーブの作り方、料理法、野菜の植え方、体の使い方、外国語の発音、名画、デザインなど、Googleの画像検索、YouTubeですぐに見つかる。
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「おカネ出して読みたくなる本じゃないと売れないんです。いまはネットでほとんどの情報が得られますからね。自分史みたいな本など、だれも買いません。自分史やエッセイを出したい人は、自費出版すればいいんです」

まさにその通り。大手の出版社から何度も言われた。その出版社の出版企画は通ったものの、著者と内容のほうで綱引きがあって折り合わなかった。ぼくのほうから「文章にこだわるなら、自費出版してください」でおしまいにした。
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この数年、わりと繁盛しているのは、自分史を出したい人のための出版社。なにしろ、幻冬舎や新潮社や三省堂とか講談社とか、大手出版社が自費出版部門に力を入れる。

もちろん、書店で売れることはほとんどない。名のある大手出版から出れば、満足する人はいる。だいたい著者が買い取りあるいは広告折半などとして、200万円くらい出す。友人など600万円も出していた。お金もっている人はいるんだね。

一般読者を相手にするんじゃなくて、本を出したい人がお客さんはというビジネスだ。そこにマーケットはあるにはある。内容はともあれ、なにか喋ってくれれば、こちらでまとめて文章にして本にすることはできるわけだし。