過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

助成金のプレゼン現場

政や民間の財団などに助成金の申請をする。申請書には、こういう地域課題があって、ここをこうしたら、きっとよくなる。だから、こんなことをしたい。そのための予算はこれくらいで、こんなふうに使う。進行計画はこうで、具体的にはいつまで、これはこうする。波及効果はこうなって、事業の継続性はどうたら。みたいなことを書き上げる。
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だいたいは、まず書類審査がある。一次、二次。そしてそのまま採択される場合もある。
書類審査の次に、面接というのもある。審査員、スポンサーの前でプレゼンして質問に答える。かつては、はるばる静岡や名古屋などに出かけていったりしたが、近ごろは、それがZOOMで可能になった。
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まあこれまで、いろいろなケースがあった。
プレゼンに行くと、ちゃんと落ち着いた控室があって、おいしいコーヒーを持ってきてくれる。審査会場に入室すると、審査員が全員立ち上がり名刺を渡して自己紹介してくれたりすることもあった。
昨日のプレゼンは、スポンサーが銀行。そのスポンサーとNPO法人をつなぐ財団があって、そこがマネージする。基本的に親切で、収支計画の不備とか、全体の概要がつかみにくいと、事前にアドバイスをくれたりした。
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ZOOMでのやりとりも、密室ではなくて公開。提案者たちもZOOMに参加できるのだ。他の団体がどんな提案しているのか、どんな質疑があって、どう答えていたのかとても参考になった。
審査員も敬意をもって聞いてくれるので話しやすい。お世辞じゃなくて、「春野ってとってもいいところですねー」とほんとうに共感してくれたりした。
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まあ、しかし、とんでもなく冷たくきびしいところもある。ある組織のプレゼンは、審査員が10名、その他スタッフ10名と合計20名余。1対20という感じ。かなり広い部屋で講演会みたいな感じ。相手の表情がわかりにくい。公開性なし。
プレゼンが終わると、欠席した審査員のメッセージが読み上げられた。「この企画は独断的なものであり、採択にふさわしくない」。いきなり敵意丸出し。まさに独断と偏見な満ちたメッセージからはじまる。
その他、審査員の質問も、意地悪というか、「なんとかアラを見つけて落とそう」という感じに見えた。
そもそも提案しようとする企画のベースになる域の問題性が共有されてないというか、わかってないのではないかと思われた。また、それはこちらの問題なので、仕方なし。
ただ、ひとりだけ「いままでよくやってこられて、ここから応援しています」という審査員がおられたが。
あとはなにを語っても、伝わらないというか、ヘンに受け取られるようで、さらに論じようとすると「時間です」と切られる。わかりやすくしようと具体例を持ち出すと、「たとえじゃなくて、質問に答えてくだい」と切られる。
そもそもうちの団体しか、プレゼンがないのだから、誤解を解くためにもっと徹底して問答したいのだが、それが許されない。異端審問の現場にいたようなものであった。貴重な体験である。
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まあ、そんなことももあり、数日は、じつに不快極まりない日々を過ごして、ダー!と太い薪を気合とともに薪割りしていた。
ま、なにごとも体験なのだ。縁があれば動くし、縁がなければおしまい。執着せず。次のテーマに移るのみ。