過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

どんな方がこの本(すごい90代)を書かれているのか。どんな暮らしをしているのか、訪ねてみたかった

「どんな方がこの本(すごい90代)を書かれているのか。どんな暮らしをしているのか、訪ねてみたかった」
83歳のご婦人が訪ねてきてくれた。杖をついて。
なんと、静岡市からはるばる来られたという。友人がクルマを運転。
 ▽
若いときに、自分でまとめた原稿があり、それを雑誌社が取りあげてくれて、「あなたは作家の道に進むのがいい」と勧められたことがあるという。まさか自分が作家なんて、と思ってその道を進まなかったことが悔やまれると言っていた。なんとか死ぬまでには、書きかけの原稿をまとめていきたい、と。その相談もあってこられたのであった。
 ▽
「おばあちゃんの知恵袋」として、「二十四節気」をもとにかつての暮らしぶりを講座で話しているともいう。
九星気学(きゅうせいきがく)でみえてくるものがあるという。
九星気学とは、古代中国から伝わる占術で、宇宙の気(エネルギー)を九つに分類したものと、さらに「木」「火」「土」「金」「水」の五行の相性を組合わせた占術。

今年は、五黄土星であり、土としては砂漠や荒野、墓場の土、土砂崩れの土、地球そのものなどを表し、破壊力や腐敗させる力がある。
方位に関しても五黄が配当される方位は「五黄殺」、その反対側は「暗剣殺」といっていずれも凶方位。

そういえば、吉野の山伏の友人から、東京から春野に引っ越す時、南西の方向の引越は「暗剣殺」になるので避けた方がいいといわれた。それで、節の変わる前の2月3日に、食器と仏壇と猫を連れて引っ越し。土地の神様に挨拶、家でお経を読み料理をして、その日に引っ越したことにした。翌朝また、東京にとんぼ帰り、そして本格的な引っ越しをしたことがあった。
 ▽
かつて四柱推命に詳しいおばあさまがおられた。教えてくださると言うのに通わなかった。易に詳しいお坊さんもいた。筮竹(ぜいちく)もいただいたのであったが、せっかくの学ぶ機会をいかせなかった。学べる時に学んでおかなくちゃ、反省は多い。

深層心理学者のユングは、易について学んでいる。
──その夏の休暇の間じゅうずっと私は次の問題に夢中になっていた。すなわち、易の答えは意味があるのか無いのかということである。もしあるとすれば、心理的な事象の流れと物理的な事象の流れとの間の関係はどうして起こるのか。私は非因果律的対応(後に私が同時性と言った)という考えを暗示するように見える驚くべき符号に度々遭遇した。(ユング自伝より)

偶然に出会ったこと、なにも考えずにひらめいたこと、それがあとから伏線が回収されていくこと。突然の出会いが実は深いつながりがあったこと。

その人のことをふと思ったら、その人が即、目の前にあらわれた。ある人がぼくのことを話題にした時、まさにその瞬間、ぼくがそこに現れた。えらくびっくりされた。そんな共時性シンクロニシティ)が、わりとよく起きる。

ふとしたひらめき、偶然の出会い、やってきた縁には、いろいろと深いものがあると思うことにしている。