過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

もしかして林業の可能性が

山里の過疎化の勢いが止まらない。この山里だと、過去10年で人口減は20〜25%。これからは30〜50%以上になるだろう。そのうち集落は消滅していく。

そうなると、どんどんと暮らしにくくなる。老朽インフラの修復ができなくなる、バス路線なくなる、保育所や学校なくなる、医療施設もなくなる。店はないので、買い物は不便。山林は畑は荒廃。住民は高齢者ばかり。

なにしろこの山里は、杉と檜の人工林ばかりだ。それが、木材価格が長期低迷のために仕事はなくなり、みんなまちなかに行く。それで人口は減っているわけだ。
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しかし、別の見方をすれば、若いうちに山里に移住すれば、可能性は広がる。

空き家だらけ、畑も貸してもらえる。山あり川あり。子どもを自由に遊ばせる環境がある。いまのお年寄りはいなくる。すると、自分たちの王国のような広々空間となる。買い物などは、ネットの通販で可能だし。

ただ問題は、仕事のないことだ。仕事がなければ、現金収入がないので、暮らしは立ち行かなくなる。ネットで仕事のできるような人は大丈夫だろうけど。なかなかハードルは高い。

コロナ禍が進み、ベーシックインカムに舵が切られれば、過疎化は止まると思うけれど。まあ、難しいだろう。
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それでも、仕事は探せばあるのだ。介護、森林組合、製茶などの手伝い、便利屋、キャンプ場、土建業、古い農機具や鉄くずの回収、その他、隙間的な仕事はその人の才覚とコミュニケーション力で可能だ。

有機農業、バイクツーリスト向けの喫茶店、うなぎやチョウザメの卵、ヤマメの養殖、エッセンシャルオイルの精製、炭焼、木工のアクセサリー、高額なメダカの養殖など、ちゃんと稼いでいる人もいる。

いま可能性としてみているのは、やはり林業だ。
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長期のコロナ禍。ここへきて、木材価格が高騰してきている。反転攻勢になるのだろうか。

たとえば、アメリカではウッドショック。昨年から、ヒノキなどが一年間で市場価格が、なんと5倍(シカゴ木材先物価格)。背景には、コロナによるリモートワークが進み、住宅金利が下がって郊外に家を建てることが増えてきたのだ。

また、プーチン大統領が2022年から針葉樹の輸出を禁じる(ロシア国内の林業育成が目的)と述べた。すると中国の影響が及び、日本にも及ぶかもしれない。
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ということで、外材の輸入量が足りなくなってきている。そのため、国内需要が増えている。2021年3月ごろから表面化してきた。

木材市では、ヒノキが前年同月比の「倍」近い価格で落札されている。ヒノキは立米15,000円だったのが、今は25,000〜30,000円。いま住宅を建築する木材が足りないのだ。

そうなると、この過疎地の山里で仕事の可能性が出てくるのかもしれない。また、かつてのような活気を呈するのかもしれない。まったくわからないが。
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「山は買うものじゃなくて、もらうものだよ」と言った友人がいた。その方は、山が好きだという理由で、次々と買い占めていた。

この山里に移住して11年。数年来、「池谷さん、山をもらってほしい」と三人から言われたことがことがある。絶望の林業だし、高齢でもうできない。子どもたちもまったく関心がない。山なんかいらないという。

そのときは、「山なんてもらっても仕方がない。管理もできないし。自然災害のときのリスクもあるかもしれない」と思っていた。

しかし、事情は変わってくる。山をもらっておいても、ほとんとリスクはないようだ。固定資産税もほとんどかからない。自然災害の責任は及ばない。そして、林業の経営計画に乗れば、収益の可能性だって出てくるのかも。

荒廃した山でも、いつか宝の山になる可能性だってあるのかも。山、もらっておこうかな。