過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

人生の諸問題を語り合える場として機能していければいい

「いっそみんなの寺にしたら」と妻が言った。
寺というのは、いわばサンガ。ともに真理を学びあい場ということだ。
ここの施設(デイサービス)は「みんなの家」という名前だが。

みんなが自然とより集まって、学び合い分かち合いのできるところ。
多世代交流の場。子どももお母さんもお父さんもお年寄りも。障害のある人も。そんな場になればいい。

こんな山里だが、はるばるいろんな人が来てくれる。この一ヶ月でもこんな人達が。

①移住相談:ハウスシックでいまの家にはいられない人。電磁波過敏症で鉛のシールドの中で暮らしている人。親子で自然の中で子育てしたい。

②訴訟事件:飼い犬が他人にケガをさせて、多額の損害賠償を払わなくちゃけない。土地と家を売ってそれに充てる。しかし、その後、犬と暮らすところがない。

③高齢でひとり暮らし:ひとり暮らしで緊急入院した。この先この先とても不安だ。最終的に特養かサービス付き高齢者住宅か。家にいられる間はとにかく家に。どうしたらいいか。

④おくりと散骨:ひとり暮らしなので何かあったら、最後の散骨までお願いしたい。

⑤ワクチン:妻が妊娠して、ワクチンを打つかどうか。ワクチンは打たないけれど、しかし妻の親は打てという。家庭内分裂が起きてしまう。

⑥供養:妻が流産して水子供養について、どうしたらいいか。

⑦調停:家を出て行けと言われた。行くところがない。原資もない。居住権をもとに裁判の申立をはじめた人。

⑧投資物件:投資物件のために土地を買いたいという相談。

自殺念慮:鬱が強くて、動けない。ときどき死にたくなるという人。

⑩妄想:毎日、天井から泥棒が忍び込んでものを盗られる。どうしたらいいか。

などなど、いろんな人が来てくれる。
ぼくは特にカウンセリングしてるわけではない。自然とそういう話が起きていく。
とにかく人生、まったく一人ひとりちがう。状況が全く違う。一般論では語れない。

ともあれ、人生の諸問題を語り合える場として機能していければいい。
語っていくうちに、分かち合っていくうちに、自然と解決の緒(いとぐち)が見つかることもある。あるいは、こういう人を訪ねたみたらと紹介する。人と人ををつなげてネットワークは作られていく。あとは「めんめんのおんはからい」(歎異抄)だ。

とにかく孤立・孤絶がいちばんつらい。分かち合える場があることがたいせつ。一人でで苦しむ必要はない。話をすることで、自分で気づいていくこともあるそして、いろいろな人がなんとか、サポートしたいと思っている。そういうつなぎの場になればいい。

子どもが遊べる場。お年寄りが気楽におしゃべりできる場。そして中核には、宗教的で瞑想的な静寂空間、祈りのある場がいいんだけれど。