過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

わが空き家を見て、楽しそうなことが起きそう、人生でやりがいが増えたと

飼っていた大きなラブラドールが、親しいおばあちゃんに嬉しくて飛びついた。大きなワンコなので、おばあちゃんはよろけて転倒。骨折してしまった。

100%飼い主の過失責任だ。

なんと、おばあちゃんの医療費、リハビリ費、慰謝料など、一千万円余の損害賠償がきた。おそろしいことに、傷害保険をやめたばかりだった。

お互いに弁護士をやとって調停に入っているが、支払わざるを得ない状態となった。
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やむなく、自分の土地と家を売却して補償することにした。

そのため暮らすところがなくなった。不動産屋を通してさがすと、大型犬を家の中で飼ってもよいという物件は一つもない。
妻と大きなラブラドールと一緒に暮らせる家をさがしている。

きょう、そんな相談に来られた。75歳。妻74歳。年金暮らし。
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向こうからやってきた方というのは、なにか縁があるとして、動く。それがぼくの行動原理。もちろん無償だ。

まずは、あちこちの家を案内。山里は空き家ばかり。かんたんには貸してはくれない。遺品の整理、補修やら、地域の付き合いやら、いろいろハードルが高い。

それで、ぼくが暮らしていた空き家をみてもらう。
2階建てで8部屋ある。
6年間、放置しているので、家もかなり傷んできている。
ワンコを飼うなら、畳は外してフローリングにしなくちゃいけない。その費用もかかる。
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1,000坪以上の敷地は草刈りしてないので、ものすごいジャングル状態。まるで冒険者・探検隊の世界だ。

その状態を見せたらきっとめげるな。
そう思っていたら、「これはすばらしい、面白い」という。

「自分で補修してくれるなら」というと、「ぜひに借りたい」と言う。
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まあしかし、いまは元気でも歳を重ねると、山里暮らしはつらくなる。なにしろ70代の後半でしょう。なにかあったとき病院は遠いし、買い物は不便。集落の付き合いも、難しいところがありますよ。そう念を押した。

「いや、ここなら妻もきっと喜んでくれる。ラブラドールも一緒に暮らせる。こんなありがたいことはない。

それに、池谷さんと話をしていると、なんかラクになった。楽しそうなことが起きそうな気がしてきた。人生でやりがいが増えた」とすごく明るい顔になった。

奥さんは、うちの施設で利用者さんとおしゃべりしたり、保育児童と遊んでくれてもいいわけだ。そういうことも、ありがたいという。

ということで、その方は、9月から家の補修と草刈りをしながら、ワンコと春野町に暮らすことになる。