あかりは、その気になったら、有無を言わさずやろうとする。「待つ」ということが難しい。
せっかく仕事に取りかかったのに、手を引っぱって連れて行こうとする。「待って」といっても、まったく許してくれない。
「はやくいこうよぉ。はやく、はやく」。
───まだ待ってよ。いま仕事しているんだから。あともうすこし。いまいそがしいんだから。
「いそがしいといったって。ここは、ちゃんと掃除してないし、ぐちやぐちゃじゃん。そんなこともしてなくてどうするの」。
───えーい。うるさい・うるさい。うるさいぞ。
「それはおたけびであって、うるさいというのは、言われるのがいやなだけんでしょう。あかりちゃんは、わかっているんだからね」。
おとうちゃんを、やりこめることが多くなってきた。お父ちゃんはいつも敗れて従わざるを得ない日々。あかりは、やっと6つになった。