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昭恵さんの突拍子もない言動について、多くの人が「愚かだからだ」と思っているでしょう。でも、昭恵さんが歩んだ道は、賛否はともかく筋が通っており、社会問題として理解すべきです。
ところが教育勅語を暗唱させる教育に感動し、森友学園の名誉校長を引き受けていたことが分かると「右か左かよく分からない」と言われるようになった。でも私から見ると、「右か左か」の観念で理解しようとするのが間違っています。
昭恵さんに関するあらゆるものを読みましたが、本人の中には一貫した論理があります。第1次安倍政権の時に「ファーストレディー」の型にはめられた昭恵さんは、「私らしさ」を求め、大学院に通いました。その中で神社巡りなどにも傾倒します。
スピリチュアルな世界観は自然回帰へとつながっていき、無農薬の「昭恵農場」や、国産食材だけを使う居酒屋を開きます。次第に「本質的な日本」や「日本の伝統」の世界に入っていきました。
その背景にあったのは、煩悶する若者たちでした。自分を探求した青年が、宗教や哲等など精神世界と結びつき、やがて君民一体による自己救済を求め、超国家主義へと接続していった。「自分探し」から自然・伝統回帰や精神世一界につながった昭恵さんの道筋ととてもよく似ています。
彼らの中にある筋道を「右左」という枠にはめると見えなくなるものがあります。近代に懐疑のまなざしを向け、エコロジーなどに傾斜した人が、伝統回帰を通じて国家主義に至る現象は広範に見受けられます。ナチュラルな思想が、ナショナルな思想に回帰していくのです。
昭恵さんの考えは、彼女一人の突拍子もないものではなく、一つの社会現象です。そして、それは私たちの身近なところに存在している。
(聞き手・田中聡子)