過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

もしや脳梗塞かしれない

─もしや、脳梗塞かもしれない。一過性脳虚血発作かもしれない。血管が詰まると血液の流入が止まり、脳に酸素や栄養が行き渡らなくなる。 脳の神経細胞が壊死すると、さまざまな障害が生じる。
そうだとしたら、救急車を呼ばないと、手遅れになる。早く処置すれば、詰まりの原因となる血栓を溶解するクスリが効く。回復する可能性はある。でも、いま救急車よぶのは大げさかなあ……。
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ひとり暮らしの利用者さんを迎えに行く。いつもより発音が不明瞭。マスクしているせいかなあ、と思っていた。朝、畳の上で転んだとも言っていた。
ちょっと疲れ気味程度で、普通に動けるし会話もいつもと変わらず。施設についても、トイレも一人で行ける。うがいもできる。大したことはない。
だが、やりとりしていると、やっぱりすこしヘンだ。ろれつがよく回らない。本人もそのことを自覚していた。ベッドに横になってもらう。手足のしびれなどを確認。
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ケアマネに連絡をとり、遠方の家族に連絡をとる。家族はクルマでこちらに向かうという。しかし、かなり時間がかかりそう。
その待ち時間が、あとあとの障害に及ぶかもしれない。やりとりをしていると、「やはり救急車をよんでください」という家族の依頼で手配した。
10分で救急車が到着。救急救命士がいくつかの病院を候補にあげて、家族と電話でやりとり。N病院に搬送。てきぱき。救急救命士って、なかなかいい仕事だなと認識した。
あとから、家族から報告あり。軽い脳梗塞だった。迅速な処置で助かったと感謝された。大事に至らなくてよかった。
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数年前だが、ぼくの母が、姉のところに泊まっていて、トイレで意識がぼんやりしたらしい。発声もヘンだという。姉からそんな連絡があったが、「一日、様子を見よう」ということにした。すると、翌日から、右半身が麻痺してしまった。もう二度と回復しなかった。
知人のお坊さんは、すこし体調がヘンだなあと気づいたが、翌日、クルマで出張。運転していると、クルマが左へ左へと曲がりそうになる。おかしいなぁと気づいたときには、脳梗塞だった。あとあと片麻痺が残った。
山里の友人は、教会で聖書を読み上げる係をしていた。ミサの参列者から、「読み方がいつもちがってヘンだ。病院に行ったほうがいい」と言われた。それで受診すると、頸動脈に血栓がたまっていたらしい。放置していたら、命にかかわることになったらしい。直ちに手術してことなきを得た。
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すこしでもヘンだなあと思ったら、即、救急車を呼んだほうがいい。「すこし様子を見てから……」などといっているに、血管が詰まって、左右の身体が麻痺してしまうことがある。
ひとり暮らしでも、この利用者さんのように、デイサービスに通っていれば、こちらで日々の変化がわかるので、対応ができる。
問題なのは、山里のひとり暮らし。お年寄りで移動手段もないことから、交流が難しい。そのあたり、オンラインの診察などができるようなシステムが望まれる。そこにいくまで、クリアーすべきことはたくさんあるのだが。