過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

じゃあ物語いくかぁ 神さまってね

あかりを保育ママのところに連れて行く。片道30分。車中で「しりとり」した。
しりとりは、単語の最後の言葉を頭にしていくのだが、あかりはときどき逆になる。「しりとり」の「り」だよ、というと「あかり」とこたえる。それはそれでおもしろいが、とても難しい。
そのうち、文章になっていく。「きょうはつかれたので、やすむことにしよう」の「う」と。すると「うんち、たくさんした」の「た」と。これも、なかなか難しい。
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やがて「しりとり」にも飽きて、森の中を走ってゆくと、「なにかお話して」と言う。
──じゃあ物語いくかぁ。あかりちゃんとお父ちゃんは、くらーいさみしい森の中をあるいていました。森の奥には、神さまが待ってくれています。楽しみだね。
「そうなの。神さまってどんな人?」
──とっても、やさしいひと。あかりちゃんのことを、いつも守ってくれているんだよ。
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「へえ、どんなかたちしてるの?」
──それはね、いろんなんかたちしててね。神さまはなんにでも、なれるんだ。山も空も木も草も神さまだよ。それぞれが、みんな守ってくれているんだ。
「虹もそう?」
──そうだよ。虹って神さまだね。そして、光のつぶつぶもね。
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「お友だちとかは?」
──お友だちもそうだね。みんな守ってくれる。あかりちゃんだって、みんなをまもってる。みんなが、守り合いながら、はげましながら、幸せに暮らしているんだよ。
「はげますって、ハゲてるの?」
──ちがうちがう。神さまはハゲてないよ。あ、でもハゲてる神さまもいるかも。
そんなやりとりをしながら、運転したのだった。