過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

「神の見えざる手」は、はたらかない

トイレットペーパーがなくなるなんて、ありえない。だけど、現実に在庫切れになってしまうと、買わざるをえない。うちのような施設だと、とくに困る。さいわい、かなりの在庫があるからいいけれど。マスクも。
「買いに走るのは、自分さえよければというエゴだ」という人もいる。けれど、実際にトイレットペーパーがなくなるわけで、困るのは自分自身。なので、買いにいかざるを得ない。
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「各人が自由な行動をとることで、最良の結果を生む、社会全体が幸福になる」というのが18世紀のアダム・スミスの経済学だ。大いに自由に行動しなさいと。背後には「神の見えざる手」が、人々をうまく導くという楽観的な思想がある。
ところが、現在のようなパニックになると、自由な行動が、最良の結果ではなくて、お互いに損になる最悪の結果をよんでいく。
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不合理だ、おかしい、ありえないとわかっていながら、みんながそうするので、従わざるを得ない。そして、みんなが不幸になってしまう。
「神の手」は、はたらかない。悪いほうにはたらく。ゲーム理論でいうと、「ナッシュ均衡」というのか、「囚人のジレンマ」というか。
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いまの現実は、不安が募り、検査に走るだろう。ところが、医療機関は対応できずパニックとなる。陽性反応の感染者が出たら、その医療機関は閉鎖となる。ますます、医療が受けられない。そして、医療崩壊と。
なにもかも、みんなが自粛する。経済は停滞する。大不況になる。ますます停滞する。さてどうするか。というと、自分だけはなんとか生活防衛するしかない。そうなると、トイレットペーパー買いみたいなことになるわけで、ああ難しい。