過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

じゃあ、ぼくのマッサージの実験台にでもなりますか?

いつもウトウト居眠りしてしまう利用者さんがおられる。じっくり新聞と読書しているが、やはり眠いようだ。
「ぼくがインタビューするので、自分史でも作りましょうか」。「シルバー川柳はどうでしょう」。「PPバンドで籠づくりは」。書の達人なので、「今週の標語を書いてくれませんか」。「散歩に行きましょう」。「ギターで伴奏するので、演歌でも歌いますか」。
……いろいろ誘うが、きょうは気乗りがしないみたい。
「なんにもする気がしないなあ」と言う。
──じゃあ、ぼくのマッサージの実験台にでもなりますか?
「うん、それがいい」。
--------------------
ということで、うつ伏せになってもらい、マッサージさせてもらう。
足の裏、ふくらはぎ、膏肓、首の付根と。
マッサージしていても、ぼく自身は疲れはしない。こちらも深い瞑想になる。エネルギーが循環する。
腎臓に手を当てると「温かいなぁ」と満足そう。
そのまま、相手の呼吸を感じてゆく。
吸うと体が膨らむ。吐くと体が縮む。
相手の呼吸に合わせる。吐く息とともに、体が縮む。
そのとき、腎臓の部位を両手でゆったりと押す。「うわー、気持ちがいい」という。
-------------------
人間は、おそらく水分が70%くらい(胎児で体重の約90%、新生児で約75%、子どもで約70%、成人では約60〜65%、老人では50〜55%)。
いわば、水を入れた革袋みたいなものだ。ゆったりとゆらす。体まるごと、ゆらりゆらり
そのこと自体、とても気持ちがいいということになる。
利用者さんは、そのまま眠ってしまった。