過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

相手の人生の体験。相手の思いの世界に踏み込んで聞いていく

デイサービスには、いちおうはプログラムがある。
バイタルチェック、入浴、昼食とおやつ、リクリエーション、生活機能訓練、ゲームや歌など。
ただ、ぼくが経営者なので、そのあたりは臨機応変となる。
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11時過ぎに、「きょうはなんの日」というテーマで、きょうという日の記念日、生まれた有名人、早口言葉、体操、今月の歌……という流れがあって、そして昼食となる。
ここは、ぼくが担当しているが、利用者さんが少ないこともあって(3〜5名)、ほとんど座談会というか、対話形式での展開となる。
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たとえば、1月31日は、「愛妻の日」(131の語呂合わせ)としたら、みなさんどんな愛妻でしたか? どんなご主人でしたか? どんな思い出に残ることがありましたか? と聞いていく。
そうすると、嫁姑問題のことから、穏やかで優しかった夫の思い出話とか、いろいろとでてくる。でてくる。そこから、またやりとりがはじまる。
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また、きょうは、山下さんの五つ子が生まれた日なので、出産と育児について。
一人でも育てるのは大変なのに、双子、さらには五つ子となったら、おかあさんはどれだけたいへんか。睡眠などとれない。おっぱいもたいへん。生活費も大変。さらには、不妊治療のこと、産婆さんや産婦人科のこと。……など、育児にまつわる思い出話に花が咲く。
毎日、こうしたことをしているわけで、ずいぶんと場数を踏んできたことになる。
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わかったことは、なにはともあれ一方的な説明や話は伝わらないということ。
こちらのペースでは、相手の頭を素通りしていくだけ。そうすると、話していて元気がなくなる。徒労感がある。ぼくのこれまでの数々の講演会での講師の体験をふりかえると、そう感じる。
ところが、相手に反応と反響があると、そこから生きたやりとりがはじまる。そこに臨場感が起きてきて、言葉が伝わりやすい。そうすると、俄然、こちらも元気になる。
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どうですか? どんなことがありましたか? そう聞いていく。だれかが、なにか話してくれると、そこから話は展開していく。そしてまた、聞いていく。
ということで、予め素材は用意するけれど、ストーリーはないほうがいい。まさに、臨機応変
相手の人生の体験。相手の思いの世界に踏み込んで聞いていく。そこからまた話していく。そういう貴重な体験をさせてもらえるわけだ。