過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

田舎暮らしの負の側面について

ものごとは、いいところとよくないところの両面がある。今回は、田舎暮らしの負の側面について書く。
この山里は自然が豊かだ。そう思って移住したのだが、数年して気がついた。決して豊かではない。
「森」だ。森はある。しかし、ほとんどが杉と檜の人工林ばかりだ。紅葉はしない。林業は振るわず木を伐採すると赤字になるので、間伐しない。なので、密集した林で暗い。その森では、ほとんど生物は暮らせない。生物のいない森である。
そして、おそらく広葉樹と針葉樹では保水力に差がある。自然林のままでは、保水力のあったのに、人工林にしたために保水力が落ちる。ゲリラ豪雨などで、いきなり河川に水が流れ込む。すると、土砂崩れや川が氾濫しそうになるわけだ。
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「川」だ。きれいな清流はある。しかし、魚がほとんどいない。
いまの老人たちに聞くと、かつては鮎など飛び跳ねていて眩しいほどであった。鰻も一日に10匹も20匹もかかったという。それが、いまはほとんどいない。鮎は、稚魚を放流して、それを釣っているわけだ。
どうして魚がいないかと言うと、ダムができたからだ。ダムのために、魚が遡上できずに産卵しない。だから、魚がいなくなった。また、ダムのために、中田島大砂丘などは、ほとんど砂浜がなくなってしまった。山から流れる砂がダムにせき止められて滞留しているからだ。
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そして、いろいろな人に移住相談をするのだが、総論としていつも言う。
①豊かな森がある田舎がいい。自然林、広葉樹のあるところ。
②川がきれいで、魚がいるところがいい。
③温泉があるところがいい。温泉があれば、なんとリラックスできることか。健康にもいい。
④電車の駅が近い所がいい。年をとると、やはり移動がたいへんだから。
ということで、そんなに山奥に暮らさないで、そこそこの田舎がいい。
駅が近くて、森があって、温泉のある田舎というところ。そういうところは、わりとあるのではないかと思う。
そうは言っても、都会暮らしよりは、田舎のほうがのびのびと暮らしやすいし、いろいろ可能性も広がると思う。自分で仕事が作れる人であれば、田舎暮らしのほうが楽しいとは思う。