かくれんぼ 三つ数えて 冬になる
かくれんぼの鬼 とかれざるまま 老いて誰をさがしにくる 村祭
寺山修司の歌だ。
かくれんぼは、えんえんと終わりがない。隠れるほうも、見つける鬼にとっても、不安、どきどき感。ほんとうに隠れて消えてしまうことだってある。鬼が嫌になってあそびを放棄することもある。
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「かくれんぼしよう」
あかりが言う。
家でやる分には、狭いのでわりとかんたんだ。押入れとか衣装箪笥とか、すぐに見つけられる。
戸外でやると、これがたいへんだ。なかなか、見つからない。怖い。また、見つけてもらえないほうも怖い。
片付けをしながら、デイサービスの施設内で「かくれんぼ」をやった。
「お父ちゃんが、おにー。数えててよ」
──わかったよ。いち、にー、さん、しー……。
──もういいかーい?
「まあだだよ」
──まだかぞえるの? じゅういち、じゅうに、じゅうさん……。
──もういいかーい?
「もういいよー」
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さがしにいく。
──どこに行ったかなあ。
風呂場、寝室、個室、キッチン、玄関……。
あれれー? いないぞ。
──さては、このへんかなあ。
それでもいない。
もう10分以上も経ったろうか。ふつうならとっくに見つかるところだ。
──おかしいなあ。おかしいなあ。
寂として声なし。すこし焦ってきた。
おかあちゃんも、一緒に探す。
──あかりー。出ておいで。もう帰るよ。
それでも、出てこない。
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うわわっ、神隠しか!
このまま、いなくなったらどうしよう。
どこかで、窒息死とかしてないだろうか。あるいは、なにかに挟まって気を失ったとか。
これでもう、人生であかりと出会うこともなくなったらどうしよう。不安が募る。
そうこうしているうちに、お母ちゃんが見つけた。
事務所の机の下に潜んでいた。ああ、こわかった。