過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

論文のポイントをアドバイスした

「地域活性」をテーマにして、卒論を書くという大学生が来訪。論文のポイントをアドバイスした。
ポイントは、テーマはシンプル。「ワンメッセージ」に絞り込むこと。
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たとえば、過疎地の活性化をはばむものは、3つ。それは「仕事がない」「空き家がない」「地域の閉鎖性」。
それを乗り越えるものは、「人と人をつなぐネットワーク力」である。 それは、架設であるがその軸から卒論を書けば面白いかもと、伝えた。
テクニック的には、「マインドマスター」という無料アプリがある。それなど活用すると、かんたんに目次ができる。頭の整理が可能。こんど来たとき教えましょう、と。
参考までに、野口悠紀雄さんの「超文章法」を紹介。以下、引用。
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学術的な論文が成功するか否かは、九割以上、適切なメッセージを見出せたかどうかで決まる。うまいメッセージを見出せれば、ほとんど成功だ。
適切でないメッセージの場合、文章を書く段階にまでいたらず、頓挫することが多い。書き始めても、成功の確率は低い。
エッセイ、評論、解説文などの場合には、メッセージの重要度は、学術論文の場合に比べれば低い。それでも、文章が成功するかどうかは、八割方メッセージの内容に依存している。
こうした文章の場合には、主張や発見という性格は薄れるので、「メッセージ」の代わりに、「テーマ」または「主題」と言ってもよい。
私は、いくつかの雑誌に連載エッセイを書いているが、執筆作業で最も苦労するのは、テーマの発見だ。うまいテーマが見つかれば、あとは何とか書ける。
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ひとことで言えるか? ある命題を「メッセージ」と言えるかどうかは、どのように判断できるか?第一の条件は、「ひとことで言えること」だ。
この規定は、単なる外形基準であり、内容とは関係がないと思われるかもしれない。しかし、私の経験から言うと、これこそが最も重要な条件である。
博士論文の口述試験の際、発表が終わってから、「それで、君の言いたいことは、要するにどういうことか?ひとことで言えば何だ?」と尋ねることが多い。これは、発表が要領を得なかったからである。
これに対する答えが再び要領を得ないものになったら、その論文はホープレスだ。発表者は、適切なメッセージを捉えていない。
同じような経験は、何度もある。修士論文口述試験で、「先行業績とどこが違うか、あなたの発見が何かを五分で説明せよ」と最初に指示したにもかかわらず、一五分たっても論文の半分しか進まない。「あと二分で」と追加指示するが、やはり長々と続く。これは、適切なメッセージがないことの証拠である。
もし「どうしても伝えたいメッセージ」があれば、一〇秒で言えるはずだから。 これとは逆に、きわめて適切なメッセージが返ってくる場合もある。
社会人大学院の入試面接のとき、会社で広報の仕事をしていた受験生に、「仕事で何に苦労したか?その結果、何が重要とわかったか?」と聞いてみた。答えは、「社内向けと社外向けでは、アピールすべきポイントが違う。その違いを押さえるのが重要とわかった」ということだった。
非常に的確に、そして簡潔に、ポイントをついている。このメッセージをもとに、本を一冊書くこともできるだろう。(「超文章法」野口悠紀雄著、中公新書より)