過疎の山里・春野町で暮らす

山里暮らしの日々を綴る/いちりん堂/NPO 法人 楽舎

来月99歳になる。すごいことだ。

きょうのデイ。98歳のFさん。大正9年生まれだ。とても無邪気で可愛らしい。

耳が遠いので、話はできない。みんなとの話にもはいれない。ひとりで塗り絵などをして過ごすようになる。

そこで、100均の「ホワイトボード」を持参して、筆談していった。

──どこからお嫁に来たの?
「高杉だよ」
──何歳のとき?
「19歳だったよ」
──それは、若かったね。お姑さんはどうだった?
「それが、ほんとうにいい人で、いい人で。いまでも感謝していますよ」と合掌する。

ホワイトボードに字を書いていくと「ひとりしりとり」がはじまる。

「や」と書くと、「やすまずに仕事をしましょう」。
「う」と書くと、「うちに帰ったら、ご先祖様に挨拶します」。
「す」と書くと、「すなおな心がけで生きましょう」。

……そんなふうに標語バージョンになるのが可愛い。

朝、迎えに行くとき、寺の前を通ると「ご先祖様、行ってまいります」と合掌する。帰りには「ご先祖様、きょうもありがとうございます。おやすみなさい」と合掌して挨拶する。

家に送り届けて別れるときも、深々とお辞儀をしてお互いに合掌。
仏さまの送りむかえをしているような気がしてくるのだった。

来月99歳になる。すごいことだ。