走り続けるのか。止まるのか。
『鏡の国のアリス』(ルイス・キャロル)に出てくる赤の女王」は言う。「その場にとどまるためには、全力で走り続けなければならない」(It takes all the running you can do, to keep in the same place.)。
ぼくの暮らしは、せめてその場にとどまるために走り続ける感じ。止まると流される。
こちらは原始仏典から。
残忍な盗賊とブッダとのやり取り。アングリマーラは、剣をひっさげ、ブッダの後ろから追いかけていく。 だが、走っても走っても、彼はブッダに追いつくことができない。
アングリマーラはブッダに向かって叫ぶ。
「止まれ、沙門! 止まれ、沙門!」
ブッダはそれに答えてこういう。
「私は止まっている、アングリマーラよ。お前こそ止まれ」
ほんとうに大切なことは、心が止まっていること。ブッダは、つねに止まっている。
ときに走り続け、ときに止まる。
しかし、心(マインド)はつねに縁に紛動されずに止まっていなくてはならない。